スコットランド:独立賛成51%に 英紙調査
毎日新聞 2014年09月07日 21時59分(最終更新 09月07日 22時21分)
【ロンドン坂井隆之】英国からの分離独立の是非を問うスコットランドの住民投票を18日に控え、英紙サンデー・タイムズは7日、最新の世論調査で独立賛成が51%に達し、初めて反対(49%)を上回ったと報じた。投票間近になって賛成派の勢いが急速に強まっており、最終盤にかけて論議が白熱しそうだ。
調査は2〜5日、英世論調査会社ユーゴブが実施した。8月初めの調査では、反対の割合が賛成に22ポイントの差をつけていた。しかし賛成派が若者中心に戸別訪問などの大規模なキャンペーンを展開したほか、最新の公開討論で、スコットランド民族党のサモンド党首(自治政府首相)が反対派のダーリング前財務相に圧勝したことで、今月1日の調査で差が6ポイントに一気に縮小していた。ただし、「未定、投票に行かない」との回答を含めると、賛成派47%、反対45%となるため、終盤で中間派を取り込めるかがカギとなりそうだ。
スコットランド自治政府のスタージョン第1副首相は同紙に対し、「賛成こそがスコットランドに豊かさをもたらすことを、人々が気付き始めている」と語った。住民投票で可決されれば、英国政府と協議を進めた上で、2016年3月に独立を目指す方針。可決された場合、キャメロン首相の責任を問う声が強まるのは確実で、15年5月にも実施される総選挙の結果も左右しそうだ。英メディアによると、政府は週明けにもスコットランド自治政府の自治権限を拡大する措置を発表する見通しで、独立派の切り崩しに全力を注ぐ構えだ。
一方、スコットランド独立の実現性が一気に高まったことで、経済界には動揺が広がっている。先週のロンドン金融市場では、企業や投資資金がスコットランドから流出したり、独立の条件を巡って英政府とスコットランド政府の対立が強まったりといった混乱を懸念して、英ポンドに売り注文が集中。スコットランドで営業を展開する大手銀行などの株価も下落した。