ソフトバンク−西武 お立ち台でバルタン星人(手前)らとポーズをとる(左から)今宮、中田、中村=ヤフオクドームで(菊地俊哉撮影)
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パ・リーグは6日、首位ソフトバンクが6−2で西武を下して3位以内を確定させ、両リーグ一番乗りでクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。ソフトバンクのCS進出は2年ぶり6度目で、2004〜06年(04年当時はダイエー)のプレーオフを含め9度目となった。また、ソフトバンクが勝ったことで昨季、球団初のリーグ優勝、日本一に輝いた楽天の連覇の可能性は完全消滅。昨年2位の西武、同3位のロッテも優勝の可能性がなくなった。
◇ソフトバンク6−2西武
この日は「パ・リーグ親子ヒーロープロジェクト」の開催日。ヒーローは、すがすがしい気持ちで、バルタン星人らウルトラ怪獣が待つお立ち台に上がった。ソフトバンク・中田が、故郷福岡に帰ってきた1年目。念願の10勝目を手にした。「開幕前からの一つの目標。単純にうれしい」。14勝をマークした07年以来の節目の白星に、背番号11は喜びに浸った。
初回、西武打線に3長短打を許して2点を先行された。「何とか粘らないと」と気合を入れ直した2〜7回の被安打はわずか1本。「良い角度から落ちてくれた。カウント球にも勝負球にもなった」と言うフォークボールがさえ渡って三振の山を築いた。右打者にはスライダー気味に、左打者にはシュート回転で逃げていく。124球のうち、約4分の1に当たる30球がフォーク。「今年では一番投げたんじゃないかな」。積み上げた12奪三振は自己最多タイ。秋山監督も「持ってるものを全部使いながら投げてくれた」と絶賛した。
「2桁勝利はこれまで一度だけ。残りの野球人生で突き抜けるために、何かがほしかった」。それが入団から9年間慣れ親しんだ中日を離れ、ソフトバンクに移った理由だった。ただ、古巣への愛着を忘れることはない。今でも球団の有料公式携帯サイトを登録し、その中で中日スポーツを愛読。かつての同僚たちの活躍を確認している。
プロで勝つための方策は中日時代、レジェンドの背中を見て学んだ。5日の阪神戦で最年長勝利の日本プロ野球記録を塗り替えた49歳左腕の山本昌を「生きた教材」にしている。投球動作のメカニック、精神面、多くの助言を授かってきた。忘れられない光景がある。入団1年目の05年、ブルペンで投げていた山本昌の抜群の制球力にくぎ付けになった。「ほぼ、同じ投球フォームで投げていた。この投げ方だったら、あそこにしかいかない、そんな投げ方だった」と振り返る。
FA移籍初年度に2桁勝利を挙げた投手は史上5人目。ソフトバンクでは95年の工藤公康以来。チームは中田の貢献もあり、両リーグトップでCS進出を決めた。「これからも、一つ一つです」。頼もしい背番号11が、Vロードを固めていく。 (谷光太郎)
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