米アップル最新特許からiPhone戦略を探る
産経新聞 9月7日(日)22時16分配信
米アップルが9日(日本時間10日早朝)に発表すると見込まれているiPhone次世代機(iPhone6)では、大画面ディスプレーが搭載されるだとか、最新の基本ソフト「iOS8」が盛り込まれるなど、「フルモデルチェンジ」並みのインパクトがあるとされている。
マッキントッシュ(マック)のマウス操作や、クリックホイールと呼ばれる初期のiPodに搭載された円状のコントローラー、そしてジェスチャーで液晶画面を操作するおなじみのスマートフォンの操作などを生み出したアップルの持ち味は、「ユーザーインターフェース」の素晴らしさだ。
同社が出願した最近の特許から、アップルの描くモバイル戦略を探る。
■液晶の下にカメラを潜ませる
日本の特許庁が特許公開中の発明「電子機器用のカメラレンズ構造体およびディスプレイ構造体」は、ディスプレーの裏にカメラを備えることを可能にする構造について説明している。利点は、限られた表面積を有効に利用するができるだけでない。現在のiPhoneなどのモバイル機器は、自画撮りのときや、テレビ電話などをしているとき、少し目線がずれてしまう。発明では、ディスプレーとカメラ素子部を重ねるためのいろんな方法を挙げている。自分の目をみながら、しっかり目線の合った写真が撮れるようになれば、満足度は高まるに違いない。
■大画面でも端末はできるだけ小さく
いPhoneと競合するアンドロイド端末では、フォーン(Phone)とタブレットを合わせて「ファブレット」と呼ばれる大画面スマホが人気を博している。大画面の方が多くの情報を載せられるが、単にディスプレーを大きくするだけでは、携帯性を損ねる。端末の小ささと画面の大きさを両立する必要がある。特許公開中のアップルの発明「タッチ表面の端部領域におけるタッチ接触の選択的拒否」は、画面の外側のいわゆる「枠」でも、持っている指と動いている指を区別してジェスチャーを認識する技術だ。ディスプレーがボディーの端ぎりぎりまで広がれば、それだけジェスチャーのフォロースルーが画面部をはみ出るようになる。ユーザーの使い勝手のためなら、できるだけの努力をするスティーブ・ジョブズ氏のスピリッツはこうしたところに生きている。
■周辺環境をみて最適な手段で着信を気付かせる
特許公表中の発明「自己適応触覚装置」は、名称はものものしいが、文字通り、装置自身がそのときに最適な手段で着信などを知らせる機能だ。
iPhoneなどの端末が、自らが置かれている状況をセンサーを駆使しながら把握し最適な方法を選んでいくというもの。例えば、マイクで拾った音の静けさから教室や会議室にいると判断すれば、音を出すのは止めて振動で知らせる。加速度計や光センサーで、ハンドバッグに入れて歩いていると分かれば、大きな音を出して知らせる。これで、電車を降りても、うっかりマナーモードを解除し忘れて着信に気付かないといった日常的な問題から解放されるかもしれない。
9日に発表されるとみられる「iPhone6」で、これらの新技術が搭載されるのかは不明だが、まだまだスマホやタブレットの使い勝手に向上の余地がありそうだ。(原田成樹)
最終更新:9月7日(日)23時23分
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