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山本昌のスーパーカー秘話 宇野勝氏が語る
2014年09月07日 11時00分

愛車のランボルギーニ・ミウラに乗る山本昌

 中日・山本昌投手(49)がプロ野球最年長勝利の大偉業を達成した。5日の阪神戦(ナゴヤドーム)に先発し、5回を無失点投球。1950年の浜崎真二(阪急)の48歳4か月を塗り替える49歳と25日での白星だ。元中日で本紙評論家の宇野勝氏が山本昌を祝福するとともに“レジェンド左腕秘話”を明かした。

 

 マサ、記録達成おめでとう。まさか49歳まで野球をやるとは思わなかった。ちょっとすごいことだよ。

 

 ルーキーのマサを初めて見た時の印象は「大丈夫かな」というものだった。体は大きい。でも、真っすぐの速さがあるわけじゃないし、特別なボールもあるわけじゃない。何年できるんだろうというのが正直な気持ちだった。

 

 そんなマサが、ここまでの投手になったのは、1988年のドジャースへの野球留学があったからだろう。当時、ドジャースにはバレンズエラという左のエースがいてスクリューボールを得意球にしていた。今ではマサの代名詞ともなっているスクリューボールは一緒にキャンプをして覚えたものだ。

 

 もっとも、あの当時のマサは日本に帰りたがっていた。その年の中日は春季キャンプをドジャースのキャンプ地・ベロビーチで2週間行った。それを終え、帰国のためにバスに乗り込む時、我々は「やっと帰れる」とワイワイだったが、マサはそのまま居残り。窓から手を振る寂しそうな顔は今でも覚えている。

 

 でも、そのおかげで留学した1Aでオールスターにも選ばれ「そのままアメリカに残ってくれ」とまで言われた。「いいピッチャーになっている」という話は日本でも噂になってたね。それは球団のトップにも伝わって88年のシーズン途中に呼び戻された。帰国した時のマサの投球はすごかったね。真っすぐは140キロぐらい出ていたし、特にスクリューボールが速くて落ちる。当時は左でその球を投げる投手が少なかったので、相手打者はまるっきり歯が立たなかった。三振も多く取っていたね。5勝を挙げて優勝の立役者になった。

 

 マサは車好きで有名だよね。年代もののランボルギーニ・ミウラやカウンタックなどスーパーカーを複数所有している。でも、当時のマサはまだ給料も安くて国産の車に乗っていた。決して小さい車じゃなかったんだけど、体が大きいから余計に小さく見える。ある時、ナゴヤ球場の駐車場でファンの中学生の「山本昌って、○○に乗ってるんだぁ」ってがっかりしたような声が聞こえたそうだ。それから「いい車に乗りたいと思うようになった」って言っていたね。

 

 落合(現中日GM)さんが中日に来た時、マサがピンチになるとマウンドに来て「○○(高級外車の名前)に乗りたいんだろ!」って、いつも言っていた。いい車に乗ることが糧になっていたんじゃないかな。

 

 そういえば、マサとはこんな思い出もある。アメリカから帰ってきた翌年、なかなか調子が上がらない時期があった。それで試合後に銀座に連れて行ってやったんだ。そしたら翌日、マサが星野監督に呼ばれて「ゆうべ、銀座に行ったらしいな。アメリカにもう1回行って来い!」って言われたんだよ。そしてそのまま本当にアメリカに行っちゃった。

 

「銀座に行ったらしいな」というのは出かける時にたまたま会ったコーチから聞いた星野さんらしいジョークだけどアメリカは本当。「行って来いって言うのに自腹ですよ」って泣いていたっけな。

 

 そうしたいろいろな経験が今につながっていると思う。こうなったら興味本位ではあるが、ファン心理として50歳で勝つところを見たい。

 

 (元中日、本紙評論家)

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