ナチス:略奪美術品 返還も寄贈も壁 1400億円分

毎日新聞 2014年09月06日 07時52分(最終更新 09月06日 17時36分)

グルリット氏が遺言で作品の寄贈先に指定したベルン美術館=スイス・ベルンで2014年5月7日、ロイター
グルリット氏が遺言で作品の寄贈先に指定したベルン美術館=スイス・ベルンで2014年5月7日、ロイター

 困惑するのがベルン美術館だ。これまでグルリット氏との接点はなく、「この知らせは青天のへきれきだ」との声明を出した。だがグルリット氏の父親は過去にベルン市内で絵画取引をした経験があるため、独メディアはこうした過去がベルンを選んだ理由とも推測している。

 関係者によると、美術館は現在、弁護士と協議中で、受け入れについての結論を出すまでに数カ月かかるという。作品の現在の保管場所は明らかにされていない。ナチスの略奪美術品については1998年、略奪品と証明されれば本来の所有者や相続人に返すよう求める「ワシントン原則」が定められ、40カ国以上が署名した。ナチスが33〜45年に各地で略奪した美術品は60万点とも推計され、うち10万点が今も行方不明とされている。

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