山口原爆死没者追悼式典:第40回、支援センター冊子作製

毎日新聞 2014年09月06日 12時48分

 第40回山口原爆死没者追悼・平和式典が6日、山口市の市民会館と市内の「原爆死没者之碑」前で開かれた。主催する山口県原爆被爆者支援センター「ゆだ苑」が、9月6日を「山口のヒロシマデー」とし、1975年から毎年開催している。今年は40回目の記念式典で、事務局がこれまでの式典の様子を記録した冊子を初めて作製し参列者に配布した。

 「山口のヒロシマデー」は、広島で被爆し旧山口陸軍病院に収容され、亡くなった兵士の遺骨が山口市内の墓地の一角に埋められたとの証言をもとに73年9月6日から発掘作業が始まったことにちなむ。遺骨は同市江良で13体以上見つかり、同地に碑を建て75年から式典を開いている。

 第40回の式典には被爆者やその遺族ら約400人が参加。参列者の高齢化を考慮し、初めて屋内で開かれた第1部では、参列者が黙とうをささげ、献花した。岩本晋ゆだ苑理事長(71)が「世界各地で戦争が火を噴いているが、核兵器は絶対使ってはならない」などと平和宣言を読み上げた。その後、碑の前でも遺骨や名簿が奉納された。追悼の言葉を述べた山口市の被爆者、増原博さん(88)は「再び被爆者をつくるなというのが私たちの命をかけた訴えです」と語った。

 ゆだ苑によると、県内で被爆者健康手帳を持つ人は今年3月末現在で3434人。人口に占める割合は長崎、広島に次いで全国で3番目に多い。

 配られた記念冊子はA4判207ページ。式典が始まった経緯や第1回からの写真、歴代理事長が読み上げた平和宣言などを盛り込んだ。ゆだ苑が資料をデータ化するのは初めてで、事務局は「本来なら50年が節目だが、10年後には90歳を超える被爆者もいて、早いうちにと考えた」と話す。1000部を作製し、残りは学校や遺族ら関係者に送る。【田中理知】

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