2013年10月19日放送放送内容まるわかり!
恋愛戦線に異変あり!? どうする?若者の未婚化
今月、国は「少子化危機突破基金」を設立し、子育て支援に加え、男女の出会い・交流イベントなど"結婚支援"を行う検討を始めました。なぜ国がこんなお節介を??
その裏には、「異性の交際相手も友人もいない」若者が半数を越え、未婚化が加速している現実があります。しかし、実は、若者の9割が「いつかは結婚したい」というデータも。
結婚したいのに、なぜできないのか?若者の恋愛離れをどう食い止めるのか?深読みしました。
今週の出演者
専門家
森川友義さん(早稲田大学教授)
水無田気流さん(社会学者・詩人)
原田曜平さん(博報堂ブランドデザイン若者研究所)
後藤千恵(NHK放送文化研究所)
ゲスト
石井正則さん(俳優・タレント)
藤本美貴さん(歌手・タレント)
小野 アナウンサー
いつか結婚したい、と思っている人が独身の人で男女とも85%近くいるそうなんです。
結婚したいのになぜしないのか、結婚したいのにできないのか。
まずは徳永アナのプレゼンです。
プレゼンテーション①
徳永 アナウンサー
おはようございます。
若い方の胸のうちに迫った本が最近、出まして。ご存知でした?この本。
平成25年版の厚生労働白書という本が本屋さんに並んでおります。
"白書"というのは、国のお役所などが私たち今、こういうことに取り組んでいて、こういうのが課題ですよ、というのを国民に広く知ってもらうために出す本のこと。
厚生労働省が出している白書は、毎年、大体サブタイトルが、年金だとか医療とか介護になるんですが、今年は「若者の意識を探る」。
こんなタイトルがついたのは、昭和31年から毎年出ている厚生労働白書史上、初めてと言われております。
これを読み込みまして『結婚の意識の変遷と環境』というところを模型に、われわれ流にちょっとたとえてみました。
結婚を山登りにたとえさせてください。
1950年代、戦後まもない頃、山の頂に行くのはエスカレーターがありました
。
これは何をたとえているかというと、これです。お見合いでございます。
ここに孤独な青年がいたとしましょう。
恋愛下手でどうしよう?そんな時には近所の親戚、家族がだまっておりません。
「良い子いるよ。会ってみない?」
会わせて、好むと好まざるとにかかわらず、ふもとに。
スイッチオンで「いってらっしゃ~い」ってガンガン上がって行きます。
よほどのことがない限り、戻ることはできません。全自動でございます。
戻れない理由は、ひとつ目はこれ。
ものすごい期待している"仲人"の存在です。
「私たちが見ますから、まさか断らないよね?」みたいな空気。
そしてもうひとつ、こちらでございます。
"世間の目"というのも白書にはちゃんと書いてあります。
この頃は「結婚しないと1人前じゃない」という感覚がふつうに言われていた時代です。
だから積極的でも消極的でもなんとなく上がって行けちゃって、かなりの人が自動的にゴール、結婚式場に行けると。
この50年代、白書によると、結婚の半分以上をお見合い結婚がしめていたんです。
そして、もうひとつ。
『生涯未婚率』というのは、50歳になっても1度も結婚していない人が全体のどれぐらいいるかな?というのをパーセントにしています。
1950年当時は男女とも1%程度。
つまり100人いたら、50歳まで結婚を経験しないのは、1人か2人。
98人か99人は1度は結婚するという時代でございました。これが50年代。
さあ、60年経ちました。だんだんと変わってまいります。
当然こういう声は出てきていますよね。
「ちょっともう結婚ぐらい個人の自由にさせてくださいよ」と。
「恋愛は自由じゃありませんか」つまり時代と共にエスカレーターの立場はだんだん肩身がせまくなって、これに替わっていきます。
例えて言うなら"階段"です。
階段というのは、いつ昇っても結構です。
出会って、交際して、婚約してもいい、戻ってもいい。落っこちることもある。昇らなくてもいいです。ちゅうちょするのも全部自由です。そもそもトライしなくたって、それも自由じゃないですか。
好きな人が好きな時に行きゃあいいじゃないですか。というのが、どんどんと広まっていきました。
急速に広まったのが、60年代から70年代にかけて。
恋愛がどんどん自由になっていく。自由化と言われました。
トレンディドラマ。90年代、出会いのパーティみたいなのがバラエティになりましたね。
いろいろ変わってまいります。まず変わったのが、このお見合いですね。
どんどん減って、今、何%ぐらいになっているかというと、全体で結婚している方のうち、お見合いを経験している率は5%にせまってしまっている現状です。
そして、もうひとつあります。
さっき私、若い方を上下させましたが。この模型、ほとんどの若い方が固定されています。動いておりません。
つまり階段の、ふもとにすら行っていない方が割と増えてきています。
白書にこんなものがありました。
「恋人もしくは、恋人じゃなくてもいいです。異性のお友達がいますか?」という質問をしました。
「いません」と答えた人、何%ぐらいいると思いますか?
藤本 さん
異性の友達がいない人は、2~3%?
徳永 アナウンサー
実は、こうです。
20~30代の方に聞いたんだそうですが、「異性の友人もいません」と答えた人が男性の6割を超えていて。女性も半分以上の方が。
なんだ?どうして?って、白書を見たんですが、若者のその胸のうちまで白書に書くわけはありませんから。ここから先は番組独自でアンケートを今週取ってみました。
20~30代の未婚の男女、400人に「なんで異性のお付き合いが減ってきていると思いますか?あなた達の世代で」というのを聞いてみました。
おもな答えをイラストにすると、この5つに分けられました。
仕事や趣味が充実しているから、自分の時間が大事で恋の時間がないという人がいて。
「出会いの仕方が分からない」と答えた人も中にはいました。
あと、良く言われる社会的な背景ですが、金銭的な余裕がそんなありませんと。
あと、恋愛がこわい。
そして、一番多かったのは、これでございます。
藤本 さん
めんどうくさい。
徳永 アナウンサー
そういう趣旨のお答えは意外と多かったのです。
さっき生涯未婚率というのは1%ぐらいというのを見せました。今どうでしょう?
50歳まで一度も結婚を経験していない方の割合は、女性は1割程度、男性になると5人に1人が50歳まで独身、一度も結婚を経験していないということになりました。
さっきのこの白書、われわれが読んでいてちょっとビックリした言い回しがあったので、最後にご紹介します。
こんなことまで書いてました。
「自由な恋愛、つまり結婚自由化は今や、もしかしたら行き詰まりとも言えるかも」
こんな趣旨のことまで触れられている。今何が起きているのでしょうか?
小野 アナウンサー
全国2000人の若者にインタビューして、若者事情にものすごく詳しい原田さんはどう思いますか?
原田 さん
知り合いは増えているんですよ。
知り合いが多い分、友達との関係が希薄になってきているので。友だち?って聞いちゃうと皆「いない」ってなるんですけど。
普通のオタクの男の子でも女の子の知り合いはいたり、フェイスブックでつながっていたりするんですよ。
友達は少なくなっているかもしれないけど、異性の知り合いは増えている。
逆に知り合いが増えすぎちゃっているから、みんな知り合いだから恋愛になかなかいけないというか。
例えば『よっ友』というのが今若者の間であるんですよ。ただキャンパスで会って「よっ」て言うだけの友達。
いろんなグラデーションがある。
本当に仲のいい親友達は『イツメン』と言ったり。いつものメンバーの略ですけどね。
藤本 さん
いつものメンバーは変わらないから、なかなか恋愛に発展しないですけどね。
原田 さん
そういうのもある。
小野 アナウンサー
こちらは実際に挙がってきた声です。
31歳・女性「デートしたり、メールや電話のやりとりが面倒」
藤本 さん
えー?「メール返ってきたー」とか、それが一番楽しいのに。
小野 アナウンサー
「デートプランを考えることがストレスになる(29歳・女性)」というのもあります。
政治学の立場から、こういう男女の恋愛について研究なさっている森川先生、どう思いますか?
森川さん
「めんどうくさい」のは、どういうことかというと、投資をしてリターンを得る。投資をして恋愛・結婚を得るというふうに考えるとですね。
投資は何をするか?というと、時間とエネルギーとお金なんですよ。この3つが大体少ない。
つまりお金、要するにお小遣いが少なくなっている。
それから仕事が忙しいから時間がない。あるいは労力をたくさん使わなきゃいけない。
これが少ないとリターンも少なくなっちゃう。
やってみたんだけど上手くいかなかった。したがって、めんどうくさい、というような感じになっちゃうんです。
小野 アナウンサー
38歳の男性の声ですが、「時間もお金もかけて上手くいかないと、それまで費やしたものが無駄になるから」
森川さん
そう、まさしくそれですよね。
それで、リターンというのは何か?というと、恋愛を獲得する。相思相愛になる。あるいはプロポーズした時に受け入れてもらう。
そこのところのリターンというのが今の時代少なくなってしまっている。
小野 アナウンサー
社会学者で"女の幸せ"というのを研究していらっしゃる水無田気流さんは?
水無田さん
森川先生がおっしゃったように、恋愛に関してはハイリスク、低リターンになってきているという印象が強いんですけれども。
でも50年代、それから60年代半ばぐらいまで、日本人はお見合い結婚の方が過半数だったんですよね。
ちょうど60年代半ばに恋愛結婚がお見合い結婚を抜いて、恋愛結婚自由化の黎明期になったわけですよね。で、この時期から70年代に関しては、恋愛結婚の志向性がすごく高まりをみせた。
上がっていく時期ではあったんですけれども。
この時期、日本人は大体30歳を超えると、9割の方が男女ともに婚姻していましたし。それから70年代一番多い時で、男性の98%、女性97%が結婚しているんですね。
でもこの時って、はたして本当に恋愛結婚していたのか?というと、疑問が残るんですよ。
というのも、そちらにもあったように、まず職場が一大恋愛結婚市場だったわけですよね。実質的にはお見合いみたいなものですよね。
要するに上司が「あの子どうだ?」とかね。年配の先生で女子大で教えていた経験のある方とかに聞くと、女子大のゼミに教授に「うちの商社の若手にいいのがいないか?」とか言って、お見合いをしてくれみたいな話がガンガン来ていたそうなんです。そして卒業と同時に永久就職とか、そういうのがツールとしてあったわけですよね。
今、上司が「君そろそろ若いの、これとこれどうかね?」とか言ったらセクハラになってしまいますよね。
藤本 さん
たしかに。
もう余計なお世話です、ってなりますもんね。
水無田さん
そうなってくると、この70年代ぐらいまでは、恋愛結婚が多いものの、実際には"恋愛結婚風味"のお見合い婚だったと言った方がいい。お膳立て婚ですね。
80年代に突入しまして、いよいよ恋愛結婚が成熟してくるんですけれども。
この時、登場したのが70年代後半、80年代に書かれているデートマニュアルですよね。デートが消費文化化したんですね。
80年代は日本の消費社会の成熟化で、この時期、一生懸命消費文化と共にデートのために若者が特に男性が、がんばって読み込んだりしたんですけれども。
エレベーターがなくなって階段になって、若者は自力の足で上がらなければならなくなったので。がんばって足腰の力を自分なりに鍛えようとしだしたのが80年代です。
小野 アナウンサー
30歳の女性から「出会いがないのは、毎日、仕事と家の往復だもの」
それから「今は仕事や趣味が楽しすぎて恋愛や結婚のことを考える余裕は皆無です。そもそもメリットってなんですか?」
「今の生活が楽しいから、別に恋愛をしたいとは思いません。むしろ自分の時間が減ってしまうのが嫌です」
水無田さん
気になるのは、過去30年くらいの間に「積極的に結婚したくない」がものすごく増えているんです。「どちらともいえない」が減って。
藤本 さん
基本的には、したくないんですか?
水無田さん
そうなんです。
30年前だと男性で「積極的に結婚したくない」が2%ですよ。
それが今、10%超えちゃっているんで、大体6倍ぐらい30年前の。
森川さん
「恋愛がこわい」これは勇気がないんですね。「出会いがない」これは、まさしく出会いがない。それから「時間がない」ですから、勇気がない、時間がない、出会いがないで、私ね『三無い男』と言っているんですけど。
こういう人達って、前はお見合いによって結婚市場からはけていっていたんですよね。
まさしくそのお見合いがなくなってしまったという点が非常に大きな問題だと。
水無田さん
生涯未婚率の数字って、これに出てくる数値の20年前の結婚関連行動に遅れを取った人達が、結局市場から残って50歳以降になるんですね。だから90年代に、男性の生涯未婚が女性を抜くんですけれども。
これって70年代の恋愛結婚自由市場化の時に、乗り遅れていった層が遅れて来た。で、80年代は恋愛結婚が増えたんだけれども、まだまだマニュアル恋愛。それがバブルの崩壊と共に、ある意味では縮小してしまって。90年代に突入すると、今度、完全自由市場化が90年代です。
この時に結婚関連行動に乗り遅れた人達が2010年、男性2割、女性1割の生涯未婚率になっている。
藤本 さん
私「時間がない」っていう声もあるけど、時間は作るものだと思うんですよね。
原田 さん
特にスマートフォンができてから、携帯接触時間のびているんですよ。
だから結構、孤独で恋愛を妄想するっていう時間がかなり無くなってしまっている。
藤本 さん
「ゲームの疑似恋愛が楽しめるので、それで十分」っていう人も。
原田 さん
今「返信ください」っていうアプリがものすごく流行っていて。
ラインでバーチャルな女の子が返信してくれるんですよ。いろんな子にモテるんですよ。
OLさんとかアナウンサーとか、いろんな人。
ずっとやり取りして。モテなかったら振られちゃうっていうのが。
後藤さん
やっぱり、お金がなかったり、経済的な問題で自分に自信がない、って人が多くなっているんじゃないかと思うんですね。
この頃の男性ですね、お見合いでもうほとんどの人達が結婚できた時代。今と何が違うか?
終身雇用制度ですね。
もしかしたらあの頃の方というのは「おい」とか「お茶」とかしか言わなくて。今だったら「何この人?」って言われるような男性が多かったかもしれない。だけれども、定年までは安心して働けて、家族を養うことができた。まあ、そこで自信が持てたわけですよね。
でも今どうか?国が調査したんです。働き方によって結婚とか交際どう違うのか?
正社員こんな感じですけれども。
派遣・アルバイトなど恋人・交際経験なしという方、80%ですね。いつ仕事を失うか分からないし。給料も上がっていくわけではない。
そういう不安が自信のなさになって。それで交際にも、もしかしたら消極的になってしまう人が多いんではないかと。
原田 さん
それでいながら、若い女子達は専業主婦になりたいという回答がずっと増えているんですよね。
男の人の雇用が下がるが、女の人は専業主婦になりたいと思っているわけなんで。
やっぱり上手くいかないですよね。
後藤さん
NHKの世論調査でも、やっぱり両立すべきだという人達は30年間で増えているんですけども。
20代後半から30代の女性では、この5年ほど見るとそういう割合は減っている。
もっと保守的になっている。
水無田さん
20代の女性に関しては、30代から50代よりも専業主婦になりたい、性別分業肯定派なんですね。60代近くの女性と同じになっちゃっているんですよ。
やっぱり雇用環境の悪化ということが。それから80年代に女性も男女雇用機会均等法に代表されるように、必ずしも結婚・出産だけの人生じゃないよねーと。
オプション増えたのはいいんですけど。子育ての環境って、相変らず専業主婦中心で。専業主婦じゃないと結局、良いお母さんになれないんですよね。
そういうジレンマから、自分の個性とか仕事を大事にする女性が80年代後半、おもに90年代くらいから、仕事を選んだ場合には、出産・育児から退出して行ったんですよね。
その結果、90年代生まれ以降は、おそらくは、あえて生まれてきたお子さんというのは、おそらくなんですけれども、保守的な家庭育ち、保守的な家庭が再生産されている可能性が高いと私は踏んでいるんですね。
あともうひとつ。
働いているお母さんが自分の子どもをいざという時、誰にみてもらうかというと、7割が自分の実母なんですね。4割お姑さん、公的な保育所だと2割ぐらいなので。
要はキャリアウーマンのお母さんの子どもというのは、おばあちゃん子になってしまう可能性が高い。
いずれにしても保守的になってくるという。それが悪いことでもないんですけどね。
視聴者の声
10代・女性
「草食系男子が流行っているようですが、一般女子はモジモジしている男は嫌いだと思います」
10代・女性
「将来結婚したいとは全く思わない」
20代・女性
「街コンに行くのが、がっついているみたいで恥ずかしい。出会い方が分からないです」
小野 アナウンサー
という声もありますが、ここで若い人達の後押しをしてあげようという試みについてのプレゼンです。
プレゼンテーション②
徳永 アナウンサー
少子化を放っておくわけにはいかないと、取り組んでいる自治体とか大学とかもありまして。2つ取材してまいりました。
まずは大学のユニークな授業の話です。
九州大学の佐藤剛史さんという方が、去年から始めた授業が大変話題を呼んでいます。
その名も『婚学』。
なんだこれは?ということで、伺がってまいりました。
どういうことをおっしゃっているか?というと、タイトルを付けるとこうです。
「青年よ、結婚に"リアリティ"を抱いてください」と。
この授業、突然こういうことをします。
22人いる学生さんを「はい、ちょっとカップル組んで座って」
別に付き合う必要はないんですが、男女同数にしておいて「ペア組んで座ってみて」とペアを組ませます、強制的に。
そしていろんな話し合いをして「ちょっと議論をして結論を出してごらん」って、いろんなテーマを出していきます。
授業が半年続く中でいろんなものがあります。
「家事の役割分担」というのが、先生は真骨頂だと話していたんですが。
例えば、お風呂あがり、バスタオルにしますか?フェイスタオルにしますか?どっちにしますか?それは何日で洗濯しますか?
結婚したらどっちが料理をしますか?さあ、好きにさせますか?それとも二人で統一しますか?ちょっと話し合ってみましょうか?試しにと。
こういうの結構ケンカの種になったりしませんか?
藤本 さん
ああ、たしかに。洗ってよ、みたいなね。
徳永 アナウンサー
もちろん、それだけではなくて。
この「家事の役割分担」というのは、炊事・洗濯・お掃除みたいな家事をリストアップして二人がもし共働き夫婦だったとしようじゃないか。
どういう分担をするかシミュレーションして、必ず結論を出させるんです。
なんでこんなことをしているか?と率直に伺いました。
最初のプレゼンで、一度も恋愛の階段を上がったことのない若い方、獏として不安に思っているだけで、実際に上がってみたことがない、という人もいるんですよ。
つまり具体的に何が嫌なのか分からないまま、なんとなく不安だ。
でも強制的にでもいいから、1回リアルに考えてみると物の見方が少し変わって、ひいては決断力のある人間になっていくんだよ、というのが先生の持論なんですよね。
原田 さん
もっと不安にもなりそうですけどね。
藤本 さん
分かれそうですよね。
徳永 アナウンサー
結局そうなっても、もう構わないよと。それは個人の自由だよ、とおっしゃっていたんですが。
実はこんな話があって、かつて授業を受けたある女子学生さん。
歯医者さんになりたくて、バリバリのキャリア志向。
「結婚なんて考えてもいない」と言っていたのが、男の子が家事分担をみんな優しくしてくれるっていう話をドンドン聞いて。
「私ちょっと結婚してもいいかな」と授業中に言い始めたという話も出たりしていて。もちろん机上の空論ですけれども。
ちょっと一回やってみようよ、というのが今話題を呼んでいる授業でございます。
もうひとつ、こっちです。
タイトルを付けてみました。世の中の流れに逆行してみようじゃないか、という世話人を復活させよう、大作戦でございます。
地域にはいらっしゃいましたよね?さっきの50年代は。
「うちの若いのどうですか?」っていう、この世話焼き人の皆さんに活躍してもらおうじゃないかと目を付けたのが、ここです。
茨城県。もう7年前からやっています。
『出会いサポートセンター』といって若い方の出会いを支援しているんですが。いくつかのお見合いパーティなんかをやったりしている中で、呼び物がこれです。
"世話焼き人"だった方々。もう一度手をあげてください。
『マリッジサポーター』県が全面的に応援するんで、どうぞ昔のように頑張ってください。
いま茨城県内に、およそ700人もサポーターがおります。
そして、この人達になるべく自由に活躍してもらうために、いろんなお膳立てを県がしてくれています。
例えば、お見合いパーティってあるでしょ?自治体主催でも。
よく見てください。代理です。若い方はいません。
マリッジサポーターだけが集結し、その持っている情報を互いに交換し合うパーティがあります。
「こういうのどうですか?」「あなたのところの私はいいですよ」交互に見せ合いっこします。そして、いい人がいたら紹介してあげてください。
そして、こんなケースも中にはあります。
例えば、あるサポーターの方がA君という人を世話したとします。A君の好みのタイプは、ずっとこう言っています。
「おしとやかで、ものしずかな子をどうぞ紹介してもらえませんか?」
パーティには、そういうピッタリのBさんみたいな人がいました。 でもこのサポーターは、Bさんの情報を持って帰りませんでした。
ちゃきちゃきのCさんの情報を持って帰りました。
「なんで?」って聞いたら「いや、あんたには明るい子の方が合うわよ」
意にそう人を紹介してもいいし。いや、サポーターとしてこっちがいいというのを紹介したっていい。
藤本 さん
最終的に断るか、決定するかはAさんですもんね?
徳永 アナウンサー
そうなんです。
だから紹介するのはいいじゃない。もうサポーターに昔ながらの自由に活躍してもらおうじゃないかというのを大事にしている。
実はマリッジサポーターもふくめた、この『出会いサポートセンター』という取り組みで、この7~8年で結婚できたのは、1000組。
小野 アナウンサー
"リアリティ"抱いたら結婚できないんじゃないか?という問題ってないですか?
原田 さん
ソーシャルメディア見たら、いっぱい入ってきますから。
昔みたいにリアリティがなくて、妄想が抱けた方が結婚ってしやすいんですよ。
逆だと思います。リアリティが今ありすぎちゃって逆に。大人は悪口しか書かないじゃないですか。鬼嫁がどうだ、こうだとかね。
徳永 アナウンサー
実は先生にも伺ったんですが、メリットもデメリットも感じています。
原田さんがおっしゃっていたとおり、自由すぎて情報がありすぎて、どこからどういっていいか分からない人もいるんじゃないかって先生はおっしゃっていて。
まあ、一回こう、強制的にでも導いてみたらどう?って。
小野 アナウンサー
マリッジサポーターどうですか?
藤本 さん
いいと思う。
おしゃべり好きな人がいいって言ったって、おしゃべり好きな人は聞いてほしいから、おしゃべり好き同志をくっ付けられてもしょうがないじゃないですか。
おしゃべり好きだったら、じゃあ聞いてくれる人もいいんじゃない、って会わせてくれる。
森川さん
ポイントは要するに税金を投入して、地方自治体がやるべきか?やるべきじゃないか?この1点をおさえないといけない。
やるべきなんですよね。
なぜかと言うと、少子高齢化の悪影響っていうのは、要するに過疎化、空き家になったり、孤独死っていう話で。それを解決するためには、地方自治体が率先してやらなければいけない時代なんですよ。
で、老舗がまさしく茨城県で。それが全国各地に広がりつつあって。長野県、群馬県、福井県、兵庫県等々ですね、いろんな努力が広がっている。
なぜかというと、少子高齢化は大都市は問題ないんですよ。人口が集まって来ますから。一番影響を受けるのは、地方のところなんですね。ですから、こういうことはね、これからやっていかなきゃいけない。これはさらに国レベルでやるべきだと。
要するに今、人口を維持するには2.0必要なわけです、出生率がね。いったん結婚すると、1.96ですから、まず2なんですよ。
ですから今1.4ということは、要するにいかに結婚しない人が増えているか。結婚しない人っていうのは、要するに地方が一番影響を受けてしまうということなので。この努力というのは評価に値すると思います。
後藤さん
よくおせっかいのおじちゃん、おばちゃんって、そのままだと疎まれてしまうというかですね、そういうところはあるかもしれないんですけど。
県の方に伺うと、やっぱりこのサポーターになると、茨城県のIDのカードをもらって、それを掛けた途端に、はくが付くというか、信頼を得て積極的にできるというか。
団塊の世代のお父さんが自分の子どもの相手を見つけるみたいなことも結構あるみたいなんですね。
森川さん
無給なんですね。完全にボランティアでやっているので。
後藤さん
そこがすごいというか。これから超高齢化社会で、出番を待っているおじちゃん、おばちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんって結構多いと思うんですけど。
その方々達の活躍の場づくりにもなっているという。
視聴者の声
70代・男性
「まず生活の安定を見込める制度が必要です。長期安定雇用が保障されれば、家庭を築きたい若者はたくさんいると思います」
後藤さん
長期安定雇用ができたらいいんですけど。なかなか戻るのは難しい中で発想の転換も必要かなと思うんですよね。
例えばですね、共働きを前提とする社会にしちゃおうと。
で、例えば30代前半の正社員で400万円の収入いいなと思いますけど。でも考えてみるとですね、派遣やバイトなど非正規の人達同志が結婚して共働きになれば、この正社員の収入を超えちゃうわけです。当たり前ですけれども。
このためには、やっぱり女性が安心して働けるような制度・仕組みとか。男性も家事や子育てを手伝うんじゃなく一緒にやると。あとやっぱり非正規の人達の待遇改善とか、いろいろやらなければならないこといっぱいありますけれども。
女性、男性、企業、制度みんなが変わっていけば、結婚へのハードルというのは下がっていくんじゃないかと。
水無田さん
先ほど20代女性の専業主婦志向が高まっているという話をしたんですけれども。こういうふうに共働きで子ども産み育てていければいいんですけれども。
まあ、いまだに婚外出生率、つまりシングルマザーから産まれてくる子どもの率って今、日本2%程度なんですよね。出生率が回復している先進諸国ってどこも過半数ぐらい、北欧とかフランスとかなってきているんですけれども。要はシングルマザーが子どもを産み育てづらいので、どうしても結婚。
で、出産を機に離職する女性、6割なんですよ。そうすると続けられないので。どうしても結婚相手は専業主婦でいさせてくれる男性。
つまり出産すると無職になってしまうので、大体生活水準を落とさず、子どもを安全に育てるためには、大体自分の倍の年収を求める女性が増えてきちゃっているんです、むしろ。
後藤さん
例えば1970年代のオイルショックの後に、ヨーロッパでは不況が続いて男性が仕事を失ったり、給料が下がっていったりしたということなんですけれども。
そこで女性が「よし。であれば自分が働こうと。逆に私が養っていこう」みたいな意気込みを言う人達がどんどん増えてきて、それをきっかけに男女平等が広がっていった。
原田 さん
アジアだと難しいかもしれませんね。
私、中国でも東南アジアでも若者を調査していますけど。日本なんかより共働き率は圧倒的に高いですよね。どこの国も。
だけど、やっぱりメインは男性なんですよ。だからすごくアジア的な考え方からすると、ヨーロッパとまったく一緒になるという状況は難しいんじゃないかと思います。
後藤さん
でもその考え方だと今のまま続いていく。
それでいいのか?という話になる。
藤本 さん
共働きできる間に蓄えればいいんですよね。
産休中というか、もらえなくなったら。私も産休もしましたし、という意味では。
あと、家事とかも女性ができない部分は男性も自然とやるからいいんですよ。だって洗濯物を洗ってくれなかったら困るから、洗いますよね?
奥さんも大変な思いをしているから、男性だってお手伝いしたいと思うから。
小野 アナウンサー
今日は、結婚して幸せだという藤本さんの一声では締めくくりたいと思います。幸せですか?
藤本 さん
幸せです。
小野 アナウンサー
今日はどうもありがとうございました。
■番組では随時ご意見を受け付けています。現在募集中のテーマはこちらから。