アギーレ監督、選手取材で感想すり合わせ
日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)が、持ち前の積極的な「選手取材」を敢行した。6日、札幌市内で行われた調整練習の最中に、DF森重真人(27=東京)、MF田中順也(27=スポルティング)らと会話。5日の親善試合ウルグアイ戦を振り返り、自身の感想とピッチ上の選手の感想をすり合わせた。初陣は消化不良の内容で敗れたが、9日のベネズエラ戦(横浜国際)に向けて、アギーレ流のチームづくりを推し進めていく。
晴れわたる北の大地で、アギーレ監督が動いた。完敗を喫した初陣から一夜明け、練習前の円陣で選手たちにメッセージを送った。「ウルグアイ戦には敗れたが、次の試合が待っている。我々は新しいページをめくり、前に進まなければならない」と、諭すように語った。
3つの布陣を用い、初招集組4人を積極的に起用した。完敗に終わったが「試しながら勝ちを求める」という哲学を実践した。ただ、それだけでは終わらない。練習中には持ち味の積極的なコミュニケーション術で、「選手取材」を繰り返した。
ゆっくりとDF森重に歩み寄り、ウルグアイ戦のピッチ上の印象をじっくり聞き込んだ。自身の感覚と選手のピッチ上の感覚をすり合わせる。DF森重は「僕の足の状態と、試合の印象を聞かれた。ピッチ内の感覚を話した」とピッチ会談を振り返った。
ポルトガルでプレーするMF田中には通訳を介さずに、ゆっくりとしたポルトガル語で意見を交換。田中は「ポルトガルではFWだけど、このチームではMFでプレーさせると言われた。僕からはFWもいいし、この位置(MF)も好きと伝えた」と言う。
ピッチ上での選手の距離感、守備時にボールを奪いにいくタイミング、3つの布陣ごとの印象…。指揮官が持つ感覚と、選手の感覚にギャップが生じるとチームづくりに支障が出る場合もある。「チーム一丸」を重視するアギーレ監督のこだわりが表れた。
アギーレ流の注入も進める。この日のパス回しでは、選手のタッチ数を1タッチと制限しつつ「状況に応じて2タッチ、3タッチしていい」と柔軟で自主的な判断を重視した。ウルグアイ戦の試合前には「君たち1人1人の責任は決まっている。1対1では絶対やられるな」と戦う姿勢を説いたという。
新千歳空港から羽田空港までの機中では、パソコンを開き、ウルグアイ戦の映像を見ながら一心不乱にメモを取る姿があった。9日のベネズエラ戦でもその哲学を貫き、アギーレジャパンの基盤を築き上げていく。【菅家大輔】
[2014年9月7日7時53分 紙面から]
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