440万組をマッチングさせたpairs分析・アルゴリズムチームのPDCAサイクル
カテゴリサービス開発
こんにちは。pairsの分析・アルゴリズム担当の鉄本です。
恵比寿のランチ開拓がマイブームです。
最近のオススメは、タワーダイニングです。
常にダイエット中の私からすると、バジルチキンのサラダボウルが美味しくて、ヘルシーで、ボリューミーで…
とにかくオススメなんです!
考え事や、開発以外の仕事をついでにしたい時に一人で行くことが多いです。決して寂しい人ではないです。
あえてです。
……ちょっと寂しくなってきたので、早速本題に入ります。
「PDCA」で回すpairsのアルゴリズム改善
今回は、pairsのアルゴリズム改善についてお話ししたいと思います。
私の所属する分析・アルゴリズムチームでは、pairsの数値データを扱っています。
具体的には数値の計測、分析 → 考察 → 提案 → 開発 → 効果測定 → 改善 … といったサイクルで開発を進めています。いわゆる「PDCAサイクル」というものです。
pairsの分析・アルゴリズムチームのPDCAサイクルを細かく分けると以下の7段階になります。
- 改善点を見つける
- 関連する数値を洗い出す
- 目標を定める
- 企画し、実行する
- 効果測定をする
- 改善する
- 5,6を繰り返す
今回はこれを、実際の事例をもとに解説したいと思います。
マッチング率を増やす
その前に、pairsのことをご存じない方のために、下記のステップ図でpairsのサービスについて簡単にご紹介します。
pairsは「Online Dating Service」インターネットを活用した、男女の恋愛や婚活をお手伝いするサービスです。
※pairsについてのより詳しい説明はこちら
気になるお相手を見つけ、やりとりを行い、親しくなり、お会いする…というシンプルなフローになります。
しかし、シンプルなフローであるほどお客様によって様々な偏りが生じやすいのです。そこで私たちのチームでは、アルゴリズムを駆使することで偏りを緩和し、より使いやすいサービスになるようにしています。
今回は上記ステップ図の3番目、「マッチング」の割合を増やす方法について考えたいと思います。
1. 改善点を見つける(何を改善すべきか)
マッチング率の改善のために、何をすれば良いか。
分析の結果、以前に比べてお客様が送る「いいね!」の数が減少していることがわかりました。
「いいね!」が送られなければ、マッチングは生まれません。
ということで、マッチング率の改善のために、まずは「いいね!」の数を増やすことにします。
2. 関連する数値を洗い出す
目的は「マッチング率の改善のために、『いいね!』の数を増やす」ことです。
そのためにまずマッチングと「いいね!」に関わる数字を洗い出します。
- 1人あたりに送っている「いいね!」数
- 1人あたりにもらっている「いいね!」数
- マッチング数(延べ人数)
- マッチング数(ユニーク数)
これらの数字を洗い出し、次に進みます。
3. 目標を定める(どのくらい改善すべきか)
数字をどの程度改善するかによって、打つ手が変わってきます。
例えば、1〜2%の改善であれば、検索アルゴリズムの微調整で対応できるかもしれませんが、
今回は、マッチング率を20%くらい改善したいところです。
そのような場合は、新しい企画が必要になってきます。
4. 企画し、実行する(どのように改善すべきか)
「いいね!」を増やすと言っても、お客様に直接「いいね!送りましょう!」と言う訳にはいきません。お客様が自然に、自分の意思で「いいね!」を送りたくなるような仕組みを作らなければなりません。
数字の分析だけではなく、お客様が「いいね!」を送るタイミングや、「いいね!」をする時の心理状態など、あらゆる状況を想定し、そこから改善のために重要だと思われるポイントを絞ります。
今回は、下記の2つのポイントに絞って企画を立てることにしました。
- 「いいね!」を送るきっかけを増やす
自分からのアクションをなかなか起こせないお客様は結構いらっしゃいます(特に女性のお客様)。
でも、「オススメ」されたらどうでしょうか?
背中を押してあげることで、一歩踏み出せるかも知れません。 - 相性のよいお相手に「いいね!」を送れるようにする
これまでのマッチングデータを分析し、相性の良い組み合わせでpairs独自のアルゴリズムを準備します。
通常、「いいね!」は検索でお相手を探すことから始まりますが、条件によってはかなり偏ってしまったり、いつも同じ検索結果になってしまうこともあります。
そこで、通常の検索とは別に「オススメ枠」としてお相手を紹介する場を設け、
さらに残り「いいね!」数を減らさずに送れるようにしたらどうなるでしょう。
ということで、「どっちがタイプ?」というコンテンツをリリースしました。
これは、毎日2名をオススメし、どちらか1人に手持ちの「いいね!」数を減らさずに「いいね!」ができるというコンテンツです。
5. 効果測定をする
検索などによる通常の「いいね!」に対し、今回の企画でどれだけ「いいね!」数が増加したのか確認します。
すると、施策前に比べ「いいね!」数が1.1倍と、期待した程の効果はありませんでした。マッチング率も変わらず。
さらに改善を重ねて行きます。
6. 改善する
先ほどの結果から、「オススメのお相手を紹介する」こと自体には効果がありそうだ、ということがわかりました。
さらに「いいね!」を活発に送ってもらうため、以下のように改善を加えてみました。
- オススメする人数を増やす
- 全員に残り「いいね!」を減らさずにいいね!ができる
- 検索での露出は低いが、相性のいいお客様を紹介する
上記の改善を加え「今日のベストマッチ」という名称に変更し、再リリース。
さて、結果はどうなったでしょうか?
7. 効果測定、改善を繰り返す
「どっちがタイプ?」に比べて、「いいね!」数の増加が1.78倍になりました。
ただ、残念ながら「いいね!」の数を増やすことはできましたが、マッチング率の増加には寄与していませんでした。
そこで、曜日ごとのマッチング率を追ってみることにしました。
木曜日が最も少なく、そこから週末にかけて増える傾向があります。
曜日による偏りを失くすことで、マッチング率を改善できるのではないか、
ということで、曜日ごとにテーマを決めてお相手を紹介する、「曜日別ベストマッチ」をリリースしました。
ちなみに、曜日ごとのテーマは以下です。
月:A型
火:B型
水:O型
木:AB型
金:出身地が同じ
土日:これまで通り
さあ、結果はどうでしょうか?
早速見ていきましょう。
前回より「いいね!」数は減少したものの、マッチング率は改善!
見出しでネタバレしてしまいましたが、「いいね!」の数に関しては前回の「ベストマッチ」に比べ、下がってしまいました。
ただ、曜日別でオススメするお相手のジャンルを変えることで、マッチング率は大幅に上昇し、「どっちがタイプ?」と比べると、20%増となりました。
やはり、血液型相性はみなさん気になるのでしょうか。
また、曜日でのマッチング率のばらつきも比較的おさまり、全体のマッチング率の底上げに貢献しました。
とはいえ、いまだ改善できるところは沢山あります。現在もまたサイクルの1に戻って、改善案を考え中です。
いかがでしたでしょうか?
今回紹介させていただいたのは、ほんの一部です。
リアルタイムで成長しているサービスに身を置いているからこそ、何をしても反応が得られ、改善プランが立てられます。
ビッグデータを扱いながらも、企画・分析・改善の一貫したフローを行えるのはなかなか無い経験だと思っています。
自分たちで考えた企画を、自分の手で再現し、育てる。
エウレカでは、そんな経験を一緒にしたい方を募集しています。
これを読んで「こうしたらもっと・・・」とアイディアが浮かんだ方、ご連絡お待ちしております!