長野が逆転満弾!原監督も「見事」7日にも「M19」再点灯だ
◆ヤクルト2―5巨人(6日・神宮)
巨人が、“満塁男”長野のグランドスラムでヤクルトに逆転勝ちした。2点ビハインドで迎えた7回。代打・井端の中前タイムリーで1点を返し、なおも1死満塁。左中間スタンドに12号アーチをたたき込み、試合を引っ繰り返した。満塁での通算打率は4割を超える勝負強さだ。7日に巨人が勝ち、3ゲーム差で追う2位・広島が負けると、優勝マジック「19」が再点灯する。
白球が、一筋の線となった。長野は石山のボールを引きつけ、バットで押し込んだ。神宮の重い空気を切り裂くライナーは、左翼席最前列へと一直線に伸びる。夜空に響いたG党の大歓声で、チームの逆転を確信した。「チャンスだったので、いくだけ。いい感じで打てました。(スタンドに)入ると思わなかった。全力で走っていたので」。引き締まった表情で、原監督とグータッチした。
勝負強さを見せつけた。7回、井端の適時打で1点差とし、なおも1死満塁。初球の141キロ直球をフルスイングした。「みんなでつないでくれて、井端さんが走者をかえして、(打席に)楽に入ることができた。ある程度、(狙い球を)絞っていきました」。昨年5月4日の広島戦(東京D)以来、自身3本目のグランドスラム。満塁では通算4割1分5厘と打ちまくっている。原監督も「見事としか言いようがない。なかなか打てない打球」と絶賛した。
因縁の地で完全復活した。神宮は8月21日のヤクルト戦で右中間への打球を捕球した後、送球しようとした際に右膝を痛めた場所だった。だがこの日の試合前、長野は右翼上空にかかった虹を見つめた。満弾への吉兆だった。
故障後も、どこかで再発の怖さを感じている。4日の広島戦(宇都宮)での出来事。練習中に球団スタッフが、雨で湿ったベンチ内の床に、足を滑らせてしまった。それを聞きつけると、工事用のカラーコーンと大きなバスタオルを床に敷いてもらった。「ホントに危ないですよ。気をつけないと」と周囲に注意喚起するほどだった。大事な時期。戦線離脱しないためにも、油断は一切ない。
故障後、1センチあるミズノ社製スパイクの歯を2、3ミリ削り、人工芝への引っかかりをなくした。この試合、6回1死一塁では坂本の左翼フェンス直撃打で三塁へと激走。直後の阿部の浅い左飛では本塁憤死となったが、全力疾走した。「大丈夫です。出してもらうからには、しっかりやるだけ」と復調を宣言した。
広島が勝ったため、Vマジックの再点灯はお預け。それでも、3年連続のリーグ優勝へ歩みを進めている。「去年よりは状態はいい。まだやらなきゃいけないですし、まだやれると思ってます。まだまだ打ちたいです」。栄光のゴールテープへ、勝負強い切り込み隊長が先導する。(小谷 真弥)