[PR]

 明るい日差しが差し込む金曜日の夕方5時。オランダ・アムステルダムのバーの屋外の席で、仕事を終えたばかりの男女8人がワインやビールを飲んでいた。企業情報を提供する会社の同僚たちの飲み会だ。

 白ワインのグラスを傾けていたタマラ・フェアスタイネさん(38)は、小学生の2人の子どもがいる母親だ。「同僚の人柄も分かるし、職場での意思疎通が円滑になる。週に1回くらい、同僚どうしでお疲れ様っていう時間を持ちたいじゃない」。お酒を飲んで交流を深める「飲(ノ)ミュニケーション」は日本と同様といえる。

 だが、はっきりとした違いがある。飲み会の時間は金曜の夕方にせいぜい1~2時間。飲みたい人が来て、自分のタイミングで帰る。「夕食の時間には家に戻り、家族と食べる」のが共通認識になっている。

 こうした飲み会は「ボレル」と呼ばれる。女性の就業率を急速に高めるなかで、家庭と職場を両立させるために自然にできた工夫だ。

     ◇

 日本では、出産後に半数の女性は仕事を辞め、幼児を育てる女性の就業率は先進国のなかで最も低い水準だ。試行錯誤しながらまずは女性が働きやすい社会をつくり、さらに女性管理職を増やしてきた欧米の事例から考える。