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<全米テニス>「4強時代」崩す旗手 錦織決勝進出

毎日新聞 9月7日(日)21時18分配信

 テニスの全米オープン第13日は6日(日本時間7日)、錦織圭(24)が決勝進出を決めた。まばゆい西日が差すセンターコート。ジョコビッチのストロークがアウトになると、錦織は両手を広げて喜びを表し、拍手と祝福の声が入り交じるスタンドに高々と右手を突き上げた。5年連続の決勝進出を目指していた「最強」のジョコビッチを2時間52分の試合で撃破して歴史の扉を開いた。「新たな歴史を築くことができて非常にうれしい」。上気した顔で錦織は少しはにかんだ。

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 ともに技術が高く、接戦にも強い。両者は似たタイプだが、ジョコビッチは全てにおいて錦織を一回りスケールアップさせた選手だった。しかし、この日は錦織がジョコビッチをスピードで振り回し、相手の裏を突くショットを厳しいコースに決めた。どんな球も打ち返す守備力に定評のあったジョコビッチが次第に顔色を失っていく。その表情はおびえに近かった。

 世界から集まったメディアも快挙に反応した。「錦織がジョコビッチを破った」。各国メディアは速報を打ち、ツイッターでも話題が飛び交う。そこには驚きとともに新時代が到来しつつあることの実感が込められていた。男子テニス界は長くジョコビッチ、フェデラー、ラファエル・ナダル(28)、アンディ・マリー(27)の「4強時代」だった。4大大会で4強のうち誰も決勝に進めなかったのは、2005年全豪オープン以来という。その牙城が錦織と、同世代のチリッチによって突き崩されたのだから。

 「彼はこれまで多くの成功を成し遂げてきたが、4大大会の決勝を戦うというのは違う。別の次元のものを手に入れたということだ」。試合後、ジョコビッチは錦織が新たな一歩を踏み出したことを認めた。錦織のことを17歳のときから知るフェデラーも「信じられない才能を持っていた。彼には私も負けたし、ナダルだって追い込んだ。持っているものを示しただけで驚きはない」と称賛した。

 「このまま調子を落とさずにやれれば絶対にいける」と錦織の視界にはすでに頂点が見えている。24歳の若者は日本の歴史を塗り替えただけでなく、世界テニス界の新世代の旗手にも名乗りを上げた。その表情は自信に満ちている。【田中義郎】

最終更新:9月7日(日)22時30分

毎日新聞

 

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