【BOX】井上、初防衛!2階級制覇で「ロマゴンとやりたい」
◆プロボクシング トリプルマッチ ▽WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ ○井上尚弥(11回1分8秒 TKO)サマートレック・ゴーキャットジム●(5日、東京・代々木競技場第二体育館)
WBC世界ライトフライ級王者の井上尚弥(21)=大橋=が同級13位のサマートレック・ゴーキャットジム(29)=タイ=を11回TKOで下し、初防衛に成功した。WBC世界フライ級王者・八重樫東(31)=大橋=は元世界2階級制覇のローマン・ゴンサレス(27)=ニカラグア=に9回TKOで敗れ、4度目の防衛に失敗。WBC世界同級12位の村田諒太(28)=帝拳=は10回戦でメキシコ同級王者アドリアン・ルナ(24)を判定で退け、デビュー5連勝を飾った。
TKOで初防衛に成功したものの、井上は不満げだった。11回、左ストレートから右フックを浴びせたところで、レフェリーがストップ。「情けない試合をしてしまって、本当に申し訳ない。0点です」。3連続KO勝ちにも喜びは少なかった。
4月のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチでは減量の影響からか、3回途中に左太もも裏がつった。今回もつりかけ、中盤には両拳を痛めた。「打てないほどではなかった」。4、6回にダウンを奪ったが「体力を考えて判定(勝ち)でもいいかな」と弱気になった。
約10キロの減量を克服するため、元世界2階級王者の長谷川穂積(真正)をサポートした栄養補助食品大手の明治と契約し、管理栄養士から助言をもらった。ウインナーなど脂肪が多いメニューを控え、肉は鶏のささみばかり。「食べた気がしない」と焼き肉のたれをつけて、食が進むように工夫した。それも限界だった。「ライトフライ級に仕上げたのもいっぱいいっぱい。でも、減量のせいにしたくない。技術的に倒せなかった」と猛省した。
試合後はライトフライ級卒業を明言した。フライ級にはゴンサレスもいる。「やっぱり強い。(八重樫の借りを)いつかは返したいですね」と敵討ちを誓った。大橋会長も「近い将来、ロマゴンと井上も面白い」と怪物対決を期待した。
12月に計画する次戦は、5月に井岡一翔(井岡)が3階級制覇を阻まれたアムナト・ルエンロン(タイ)を標的にして、本格的な交渉に入る。大橋会長は転級初戦が世界戦になる可能性を示唆した。「どの団体(の王者)と対戦してもいいように(準備)したい」と井上。井岡の11戦目を上回る、国内最速8戦目での世界2階級制覇へ突き進む。(伊井 亮一)
◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年4月10日、神奈川・座間市生まれ。21歳。相模原青陵高で高校史上初のアマ7冠を達成。アマ戦績は75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月プロデビュー。13年8月に国内最速タイ記録の4戦目で日本ライトフライ級王座を奪取。14年4月に国内最速の6戦目でWBC世界同級王座に。家族は両親と姉、弟。身長163センチの右ボクサーファイター。