【BOX】村田プロ5戦全勝も反省「初めて弱気に」
◆プロボクシング トリプルマッチ ▽スーパーミドル級10回戦 ○村田諒太(判定3―0)アドリアン・ルナ●(5日、東京・代々木第二体育館)
WBC世界同級12位の村田諒太(28)=帝拳=は10回戦でメキシコ同級王者アドリアン・ルナ(24)を判定で退け、デビュー5連勝を飾った。
初めて10回を戦い抜いた村田は顔をしかめた。「ボクシングをやってきて初めて弱気になる瞬間があった」。ジャッジ3者が10、8、6点の大差をつけた判定勝利に「キャリアが5戦しかなくて未熟な部分が出た」と反省を口にした。
序盤からメキシコ王者と打ち合った。4回、得意の右ストレートでダメージを与え、ルナがキャンバスにひざまずいた。判定はスリップ。そこからが正念場だった。「4回のラッシュでスタミナを使い切った」とペースダウン。7回が始まる時には「あと4回あるのか」と心が折れかけた。それでもルナが未警戒だった左フックを多用し、主導権は譲らなかった。
7月に渡米し「ミドル級最強」と評されるWBA世界同級スーパー王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の強化合宿に参加し、刺激された。判定勝ちに「ゴロフキンに『何のための練習だったんだ』と怒られそう」と苦笑した。
試合前恒例の米ラスベガス合宿中、高校時代からの古傷だった鼻の頭を切った。帰国後、先月25日の国内練習初日に、ドクターに見せて慎重に患部をケア。合宿中はジャブがうまく出ず、技術的な悩みは尽きなかった。
5月に生まれた長女・佳織ちゃんの誕生100目のお食い初めを祝い、心のゆとりも得られた。3歳の長男・晴道くんとの2児に恵まれるパパは「女の子は格別。男の子とはまた違いますね」と目尻を下げた。
陣営は12月に第6戦を予定し、来年末の世界挑戦へ照準はぶれない。「この内容をネガティブに捉えていない。これを失敗と思ったら上に行けない」。村田はたぐいまれな推進力でひたすら前に進む。(飯塚 康博)