【セレス小林ジャッジ】八重樫記憶に残る名勝負
2014年9月6日6時0分 スポーツ報知
【BOX】八重樫◆プロボクシング ダブル世界戦 ▽WBC世界フライ級タイトルマッチ ○ローマン・ゴンサレス(9R2分24秒 TKO)八重樫東●(5日、東京・代々木競技場第二体育館)
八重樫は「これぞボクシング」という記憶に残る名勝負を見せた。もっと前後の出入りを使うかと思ったが、打ち合いを挑んだ。私が(21勝21KO無敗の最強挑戦者)ムニョスと対戦した時(02年3月)もそうだったが、本当の強打者とは打ち合いたくなるのがボクサーの習性なのだ。スピードとパンチの回転力で、ゴンサレスを追い詰める場面もあった。フィジカルも強いので、スーパーフライ級に上げて3階級制覇を目指してほしい。
井上は序盤、生命線の左リードジャブが良かった。挑戦者が前に出なかったので、わざとパンチを出さずに誘いをかけるなど冷静だった。バランスよく大小のバックステップを使い、決して危ない位置にとどまらなかった。接近戦でも相手が打てないような、上半身の使い方ができていた。
ただ6、7回に左手を痛めたのだろうか、中盤以降はリードジャブが出なくなった。きれいに倒すことにとらわれず、強引にパンチをまとめていれば、もう少し早い回に仕留められたはず。階級を上げてもパワーは十分に通用するし、より本来の力が出せるだろう。
村田は序盤のリードパンチは良かったが、パンチのバリエーションが課題。右ストレートにつなげるまでの課程のバリエーションを増やせば、もっと右が生きる。とはいえ、プロデビューから1年で、すごいペースで成長している。
(元WBA世界スーパーフライ級王者)