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お客様相手に協業を持ちかけるITベンダーの愚かさ
「いったい、いつまでITベンダーは人月商売をやっているつもりなのか」。いつものように大手ITベンダーの幹部の人にそう言ったら、「いったい、いつまで木村さんはITベンダーに文句を言うつもりなのか」と逆襲されてしまった。「あなたは知らないでしょうけど、我々も人月商売から脱却しようとして、いろいろと努力しているのですよ」ということらしい。
もちろん私も知らないわけではない。この企業をはじめ少なからぬITベンダーが随分前から、人月ベースのSIや受託ソフトウエア開発のビジネスに限界を感じ、クラウドなどの新規事業にチャレンジしたり、人月商売のビジネスモデルを変えようとしたりしている。だが、こうした取り組みの多くは、なかなかうまくいかないのも事実だ。
なかでも、クラウドサービスとともにレベニューシェア型のビジネスは死屍累々の状態。クラウドのほうは、うまくいかない理由が分かりやすい。圧倒的な資本力とマーケティング力を持つアマゾン・ドット・コムなどと同じビジネスを、新たに始めようというのだ。これは新規事業というよりも、単なる猿マネで勝ち目の無い戦いである。ただ最近では、ITベンダーもそのことは理解している。
では、レベニューシェア型のビジネスはどうか。クラウドが新規事業ならば、こちらはSIのビジネスモデルの変革の取り組みである。従来のSIのように人月ベースで開発料金をもらい、場合によっては運用も定額料金で請け負うのではなく、システムを開発・運用することで生み出された利益を、顧客と山分けしようというもの。一種の協業である。
このレベニューシェア型のビジネスは、クラウド以上にうまくいかない。というか、絶対にうまくいかない。しかもITベンダーの経営幹部の多くが、なぜうまくいかないのかを理解していない。私から言わせれば、顧客とのレベニューシェアの大半が馬鹿げたビジネスだが、今もその馬鹿げたビジネスに取り組み「儲からない」と嘆くITベンダーは多い。
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