2014年 8月26日
広島カープの本拠地マツダスタジアムで22日、土砂災害後、初となる試合が行われた。完璧なピッチングを見せた前田健太投手はじめ、被災地のファンに勇気を届けたいとの選手の気迫が伝わってきた▼球団創設は原爆投下から4年後の1949年(昭和24年)の秋。戦前から広島商や広陵など高校野球の名門を擁した野球どころの市民にとって、プロ野球チームの誕生は、壊滅的な破壊から立ち上がる何よりの希望となった▼ただし、他球団のような強固な財政基盤を持たない市民球団ゆえの苦労は続き、球場前にカンパを募る「樽募金」が置かれた時代もある。戦力補強もままならなかったが、だからこそ、才能豊かな若い選手をスカウトして、名選手に鍛え上げる人材育成が球団の伝統となり、魅力にもなっている▼75年(同50年)、帽子とヘルメットを紺から赤に変え、「赤ヘル」旋風を巻き起こし、初のリーグ優勝を飾った。赤は「戦う色」。苦難に屈しない広島の負けじ魂の色だ▼池田名誉会長も昨年の中国新聞への寄稿で「広島の復興と歩みを共にしてきた『市民球団』カープには、どこにも負けない郷土愛と不屈の闘魂が真っ赤に燃えている」とエールを送った。励ましの赤い炎が、心から心へと広がることを祈りたい。(進)