| | || | | | ・ ・ ・ | | | | ・ | | | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ | | | ・ | | | | 本日の降水確率68% 。そう言っていたのは優秀な副官だった。 そして必ず傘を持って行くように・と出る前に何度も念を押された。 実際その予報はぴたりと当たり、もってきた傘はフル稼動中。 本当うちの副官は優秀だ・と思う。 (あえて言うなら心配性なところが玉に瑕なんだけど。) (まぁ帰ったら頭撫でてやろう。) そんな事をぼんやり考えながら久方ぶりに訪れた雨の流魂街を歩く。 隊長職についてからは滅多に来る事はなくなったが、町並みは変わっていない。 廷内の賑わいも好きだが、流魂街の静かな雰囲気も好きだった。 (と、いうと白哉に奇妙なモノを見る眼で見られたのは記憶に新しい。) (まだ9歳のくせに生意気な!) 変わる景色を見つめてゆっくり歩いていると、次第に雨脚が強くなる。 ふと止まり、灰色の空を見上げた。 雨は、まだやみそうに無い。 (、早く帰るか。) (、ん?) 何か異なった、花ではない何かがあった気がする。 一瞬の事だったので見間違いかと思ったが、気になって近づいてみると、弱弱しい霊力が。 紫陽花の群れを掻き分けると、その中に銀髪の少年が居た。 慌てて屈み、首に手を当てると、確かに脈は打っている。 しかし、その体温は普通の人間より明らかに熱い。 もしかするとこの少年は長時間この雨の中に居たのだろうか。 直ぐに傘を傾け濡れない様にした後、体を起そうと背中に手を回す。 「、誰、や?」 「ほっ!?何、だお前起きてたのか。」 「今起きた。」 恐らく声を出すのも辛いのだろう。 聞こえる声は弱弱しく、上げた顔は酷く赤い。 一刻も早く屋敷に帰るべきだが、子供の見つめる眼は不安に揺れている。 死神、しかも隊長の証である白い羽織を背負う自分が恐いのか、 それとも、他の人間が恐いのか、 思考を読み取る事は出来ないが恐らく両者であろう。 流魂街の中でもかなり治安の悪いこの場所は、子供が住むにはあまりに向いていない。 そう思うと、酷く心が痛んだ。 「っ! ぁ、」 「俺は黒崎一護。お前は?」 「、ギン。市丸ギン。」 「ギン、な。今からギンを屋敷に連れて行くから。」 よしよし・と、自分が出来る精一杯の優しさで頭を撫でてやる。 殴られると思ったのか、一瞬ぎゅっと強く閉じられた目が大きく開かれて。 にっこり笑うと安心したのかギンも笑い返してくれた。 出来るだけ優しく抱き上げると、微かに羽織を握り締めるギン。 離さないようにしっかりと抱き締めると、照れたようにギンが胸元に顔を埋めた。 「ギンー。」 「何や?」 「帰ったら何食べたい?」 その言葉を聴いた瞬間、胸元に埋っていた顔が勢いよく上げられ、驚いた顔でじっと見つめている。 変な事を言っただろうか、と苦笑して首を傾けると、ぎゅ、と首に手を回され、なんでもいいと大きな声で返事をされた。 その元気の言い返事に笑いで返し、帰った後の事を考えた。 (帰ったら風呂に入れて、薬を飲ませて、着物を変えて。) これからサボる会議は優秀な副官がどうにかしてくれるだろう。 (明日みっちり謝ればいい。) 総隊長にはちょっといい羊羹でも持って遊びに行けばいいだろう。 (山じいは何だかんだで俺に弱いから!) 遊びに来ると言い張っていた可愛い従兄弟には今度鬼道でも教えてやる事にする。 (不機嫌な顔しても、きっと許してくれるから。) 「一護ー。」 「んー?」 「…ありがとぉ。」 | | || | | | ・ ・ ・ | | | | ・ | | | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ | | | ・ | | | | 十番隊隊長:黒崎一護。 本日の報告。 流魂街における霊力保持者の保護、完遂。 技局より報告のあった南流魂街外れの不安定な霊力物体の除去、完遂。 南流魂街に現れた奇妙な能力を保持する虚の退治、完遂。 レインドロップ 補足:雨の中で佇む、仔狐を保護、任務続行。 |