わが国が進めている経済連携協定(EPA)交渉のうち、アジア太平洋地域で…[続きを読む]
この夏、外食チェーンが安い肉を松阪牛として出していたことが発覚した。昨…
この夏、外食チェーンが安い肉を松阪牛として出していたことが発覚した。昨秋は芝エビなどの偽装が騒がれたばかりだ。
残念ながら、各社の良識と市場の淘汰(とうた)に期待するだけでは反則はなかなかなくならない。
偽装は食品だけではない。
「飲むだけでやせる」ダイエット食品広告。元値を高くした「半額セール」。カシミヤの割合を偽った洋服のタグ……。
こうした不当な広告や表示をした企業に課徴金をかけられるようにする法改正案を、消費者庁が国会に出そうとしている。狙いは抑止力と自浄作用だ。
今も不当表示をやめさせる措置命令の規定はある。しかし、稼いだ分をはき出させないと確信犯には効き目がない。課徴金は、うそや誇張を思いとどまらせる効果を期待できる。
法案には、企業が自ら申告や返金をすれば課徴金を減免する定めもある。誠実に対応した方が傷が小さくてすむ仕組みだ。被害の回復や拡大防止につながり、消費者の利益にもなる。
食品偽装などでは、仕入れ先が産地を偽って納めた場合のように、表示をした企業に悪意のなかったケースもありうる。
そこで法案は、注意義務を尽くしていた場合は課徴金をかけない規定を設けている。
仕入れ伝票などの取引履歴を残しておく。商品の性能や原材料の確認を怠らない。そんな企業内の体制作りが大切になる。
そうした努力は商品の品質を高め、結局は企業の信頼を高める効果を生むに違いない。
経済団体などには、法改正が企業活動の萎縮につながらないかと懸念する声もある。
たとえば、「不実証広告」のみなし規定である。広告のうたう商品の効能を「虚偽」と断定できなくても、企業が根拠資料を示せなければクロとみなし、課徴金の対象となる。
課徴金は事実上の制裁となるだけに、「何がNGか」の基準をいかに明確にできるかは課題だろう。言い分を聴く手続きも手厚くする必要がある。
ただ、大半の常識的な企業にとってさほど心配は要るまい。不実証広告の場合、過去に認定されたのは「食事制限不要」というダイエット食品、「置くだけでウイルス除去」とうたう除菌グッズといったものだ。
不当表示の被害者は消費者だけではない。多くの企業も、いいかげんな広告を打つ競合他社に客を取られて損をしてきたのではなかったか。
広告や表示を裏読みしなくていい社会になった方が、企業も商売しやすくなるはずだ。
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