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2014.09.06

GREEがラブホテル予約アプリに突撃した結果、暴力団筋に突撃されて事業が消滅したようである話

 GREEは勇者だなと思っていたら、そうではなかったという話、夏の終わりの甘酸っぱい想い出として私の胸を去来しました。

グリーのラブホテル予約サービス、1カ月足らずで終了 理由は「コメントできない」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1409/04/news067.html

 言うまでもなくその方面の産業は一部がいまなお暴力団筋の資金源となっており、無断で荒らすといろんなものが飛んでくる世界であることはビジネスをする者として一般的な常識のひとつだろうと思うわけなんですが、それをGREEが手がけるということは「そういう方面に相応の繋がりができたので、ラブホテル予約サービスのような際どい方面にも進出できるようになったのかねえ」とか感心していたんですよ。

 何と言っても、ラブホテルと限定して名指しで事業スタートしたわけですしね。まさか何の手当てもせずにおっぱじめていたとは思いもよりませんでした。そりゃ一ヶ月で閉鎖になるわ。コンプライアンス担当は何をしていたのか。儲かりそうなら何も考えずに進出するような組織でいいのか。いろんな感情が津波のように襲ってきます。自衛隊出動待ったなしです。

 利益率は高いけど上場会社としては相応しくない仕事というのはいっぱいあり、しかしどうしても利益が欲しい会社がその上場後に問題事業を引き取るケースというのはたくさんあります。例えば、現状いっぱい広告を出しているマッチングサイトとされる事業を買収したのは、ゲーム事業が表面上当たる前のmixiでした。

ミクシィが下方修正--LINEからはマッチングサービス「YYC」などを買収へ
http://japan.cnet.com/news/business/35037871/

 そのYYCを売却したのは上場を狙うLINE(旧ライブドア)であり、上場審査の障害になる可能性のある事業だったので、利益が出ていたとしても売却を考えざるを得ないという事情があって、上場のために黒字事業を売却したいLINEと、利益確保のために問題事業でも黒字なら買収したいmixiというトレードが成立したとも言えます。

 もちろん、誰が悪いという話ではありません。
 単純に、世の中がそうなっているということです。

 翻って、取材に対して「コメントできない」という対応しかしなかったGREEですが、コンプライアンスが行き届かずにそちら方面のビジネスに手を出してクレームがきたことについて、本来であればある程度の説明をするべきで、サイトを閉鎖した以外でどのような条件を提示したのか興味があります。まさかお詫び料を払ったというわけではないのでしょうが、相応の話になってしまったのであれば包まず官憲に相談したほうがいいんじゃないでしょうか。

 この問題はairbnbのように適法性が微妙な宿泊斡旋ビジネスにも影響するところですし、本業の落ち込みが激しいからといって掴んだ藁束がプルトニウムだった的なギャグで終わらないところに侘び寂びを感じます。

 ここで、ヤフーの別所直哉さんの大人気コラムを読んでみましょう。それに対する業界に詳しい人の解説記事も奮ってます。

旅館業法の怪
http://bylines.news.yahoo.co.jp/naoyabessho/20140626-00036781/
ヤフー株式会社執行役員社長室長でも5分で分かるウィークリーマンションと旅館業法
http://d.hatena.ne.jp/Lhankor_Mhy/20140629/1404023184

 要するに、ヤフーもAirbnbの成長を見て自分もやろうと思って、なぜか一番自治体の監視が厳しい軽井沢町あたりで宿泊地貸し出しマッチングサイトやってみたら厚生労働省所管の旅館業法に抵触してたことを指摘されて始めた事業を畳まざるを得なくなったことに対する苦情という話ですが、最初から違法だと分かっていて突き進むあたりが爆速の爽快感を私たちに与えてくれているのでしょう。

 そういう法律の壁を突破したところで、今度は表題のような特定産業の慣習や従事している層の問題になりますんで、ICT業界特有のノリで進めた後始末の大変さというのはもう少しちゃんと考えたほうがいいと思いますし、明らかにするべきことはちゃんと明らかにして敗戦処理をやらないといけないと思うんですよね。

 何というか、馬鹿の見える化というか。皆さん、一歩を踏み出すのは大事ですが、それは進めていい一歩なのか、よく考えてからのほうがいいっすよ、マジで。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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