前出の秦氏は「朝日は現在、『ダブルショック』で大揺れなのではないか」と推測する。1つは当然、吉田清治氏の虚偽証言を32年もたって認めた慰安婦報道の大誤報だが、もう1つは、東京電力福島第1原発事故に関する吉田昌郎元所長の証言をめぐる報道だ。
朝日は5月20日、政府の事故調査・検証委員会が吉田元所長に行った「聴取結果書」(吉田調書)をもとに、「所長命令に違反 原発撤退」と報じた。ところが、その後に同じ調書を入手した、産経と読売新聞は「命令違反」を否定し、NHKと共同通信は「命令違反」があったとは報じなかった。つまり、また朝日報道の信頼が揺らいでいるのだ。
秦氏は「1945年に、日本が(連合国側が降伏を求めた)ポツダム宣言を受諾したのは、原爆投下とソ連参戦というダブルショックが原因だったと私は考える。2つの吉田証言によるダブルショックで、朝日の『終戦』も近いのではないか」と語っている。