慰安婦問題をめぐる大誤報を認めながら、謝罪や木村伊量(ただかず)社長の記者会見を拒み続ける朝日新聞が“次なる一手”を打った。8月30日付朝刊の「声」欄に、慰安婦報道検証記事に関する投書を掲載したのだ。ただ、最初に検証記事を掲載してから25日後という遅さに加え、朝日の報道姿勢に一定の評価をしている投書ばかりで、識者からは疑問の声が上がっている。朝日の不可解な対応の裏には何があるのか。
30日付朝刊に掲載された投書は3本。いずれも朝日に批判的な内容が含まれているが、木村社長が読んだら泣いて喜ぶような激励もちりばめられていた。
行政書士の男性(50)は「報道機関が自身の記事について検証をし、公にすることは意義がある」と検証記事を評価し、朝日の自虐史観への批判を「一側面しか眺めていない」「安倍晋三首相をはじめとする保守派の主張もその系譜にある」と述べている。
無職男性(67)は「朝日新聞を廃刊せよといった意見があるが、多様性ある言論を除こうというような主張には賛成できない」とし、識者や週刊誌の批判に疑問を呈している。最も厳しい論調の会社社長(70)も「その謙虚さには遅まきながらまだ誠意を感じる」としているのだ。
慰安婦問題の大誤報を認める検証記事を掲載した8月5日以降、政財界や識者、他メディアから厳しい批判が相次いでいる。当然、朝日にも数多くの投書が寄せられたはずである。
こうした投書が長く掲載されなかったことには、防衛大学校の佐瀬昌盛名誉教授が産経新聞(8月21日付朝刊)で疑問を呈したほか、8月26日発売のサンデー毎日も「なぜか『声欄』に“投書ゼロ”の不思議」という記事で批判している。