いよいよ月曜日からアリババ(ティッカーシンボル:BABA)のロードショウがキックオフされます。ロードショウはニューヨークから始まり、全米各地、ならびに香港、シンガポールを含むそうです。
値決めは、早ければ9月18日だと言われています。
もう一度、発行条件を記しておきます:
この発行条件を当てはめ、アリババの1ADS当りの業績を、ドル建てで計算したら、下のグラフのようになります。
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2014年3月に〆た会計年度のEPSは$1.50です。するとディール中値(63ドル)の株価を使用すると株価収益率(PER)は42倍になります。例えばフェイスブックの過去12ヵ月のEPSに基づいたPERは、約100倍です。
またアリババの時価総額は、ほぼアマゾンに匹敵する規模になると思います。
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アリババの上場申請書類(F-1/A#6)を眺めていて特に強く印象に残るのは、その利幅の大きさです。下はグロスマージンのグラフです。
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営業マージンも立派です。
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ネットマージンも、実に44%もあります。
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アリババの取扱高の伸びは、中国のeコマース市場全体の伸びを反映していると思います。
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アクティブ・バイヤー数も安定的に伸びています。
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現在、アリババはモバイルへの移行を進めています。
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中国はGDPに占める消費の割合がアメリカより小さいです。中国経済がこれまでの輸出や不動産開発主導の成長から、消費主導の経済へと変貌してゆく過程で、その恩恵を最大に被る企業がアリババだと言えます。
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中国のeコマース市場は今後も安定的に伸びてゆくと思われるので、既に極めて儲かりやすい収益構造になっているアリババは、今後も安定的にEPSを伸ばしてゆくことは確実です。
アリババはユニークな企業文化(コーポレート・カルチャー)を持っています。同社は意思決定に際し「アリババ・パートナーシップ」という独自の集団経営形態を取っています。
値決めは、早ければ9月18日だと言われています。
もう一度、発行条件を記しておきます:
初値レンジ:60から66ドル
今回売り出し株数:3.201億株(うち新株は1.231億株)
調達金額:211.2億ドル(但し初値レンジ上限で)
普通株対ADS比率:1対1
ディール後発行済み株式数:24.65億株(=24.65億ADS)
グリーンシュー:15%
ディール後時価総額:1,553億ドル(但し中値を使用)
幹事構成:クレディスイス、ドイチェバンク、ゴールドマンサックス、JPモルガン、モルガンスタンレー、シティ
この発行条件を当てはめ、アリババの1ADS当りの業績を、ドル建てで計算したら、下のグラフのようになります。
2014年3月に〆た会計年度のEPSは$1.50です。するとディール中値(63ドル)の株価を使用すると株価収益率(PER)は42倍になります。例えばフェイスブックの過去12ヵ月のEPSに基づいたPERは、約100倍です。
またアリババの時価総額は、ほぼアマゾンに匹敵する規模になると思います。
アリババの上場申請書類(F-1/A#6)を眺めていて特に強く印象に残るのは、その利幅の大きさです。下はグロスマージンのグラフです。
営業マージンも立派です。
ネットマージンも、実に44%もあります。
アリババの取扱高の伸びは、中国のeコマース市場全体の伸びを反映していると思います。
アクティブ・バイヤー数も安定的に伸びています。
現在、アリババはモバイルへの移行を進めています。
中国はGDPに占める消費の割合がアメリカより小さいです。中国経済がこれまでの輸出や不動産開発主導の成長から、消費主導の経済へと変貌してゆく過程で、その恩恵を最大に被る企業がアリババだと言えます。
中国のeコマース市場は今後も安定的に伸びてゆくと思われるので、既に極めて儲かりやすい収益構造になっているアリババは、今後も安定的にEPSを伸ばしてゆくことは確実です。
アリババはユニークな企業文化(コーポレート・カルチャー)を持っています。同社は意思決定に際し「アリババ・パートナーシップ」という独自の集団経営形態を取っています。
通常のデュアル・クラス・オーナーシップでは高い投票権を持つ創業者が経営の実権を握りますが、アリババ・パートナーシップではより合議制に近いわけです。
現在、アリババ・パートナーシップのメンバーは27人で、そのうち22人がアリババの社員です。このメンバーは固定ではなく、毎年、新しいパートナーが加えられます。メンバーの75%から支持されないと加盟できません。この投票の際、それぞれのパートナーに与えられた投票権は、ひとり一票です。
今回、アリババのIPOが香港ではなくなぜニューヨークに上場される運びになったのか?というと、香港市場よりニューヨーク市場の方が、このアリババ・パートナーシップという投票形態に寛容だからです。
外国企業が中国国内でインターネット事業を行う際は中国政府から様々な制約を受けます。一例として通信会社の外人持ち株比率は50%を超えてはいけないというルールがあります。
そこで中国国内法に基づいた変動持分事業体(VIE)を設立し、「これは中国の会社だ」ということで事業を行った上で、その利益はケイマン島に設立されたオフショア企業に一定の契約に基づき渡される形態をとっています。このケイマン籍の会社が、今回、IPOされるわけです。
なおこのような事情はアリババに固有なことではなく、中国のネット企業の多くが抱えている問題です。投資家としては、このような例は過去にも先例があり、これまでのところちゃんと機能しているということを知れば十分だと思います。
アリババの売上は:
1.出店者に対するオンライン・マーケティング・サービス
2.メンバーシップ
3.付加価値サービス
4.クラウド・サービス
などに対する対価となっています。つまり通常の商店のように商品を売った販売代金を売上高に計上する方法ではないということです。これが同社の利幅が異常に高い理由です。
中国のインターネット人口は6.18億人、そのうちネット・ショッピングをする人は3.02億人です。モバイル・インターネット人口は5億人です。(CNNIC調べ)
中国の消費に占めるネット・ショッピング比率は8%です。
iReseachは今後中国のネット・ショッピング市場は年率36.1%で成長すると見ています。
アリババは1999年に創業し、2003年にTaobaoを開始、2004年にAlipayを発表、2007年にAlimamaというオンライン・マーケティング・プラットフォームを開始、2008年にTmallというプレミアム・ブランデッド・プラットフォームなど、着実にイノベーションを行ってきました。
同社ならびに今回の売出しにまつわるリスクとしては、先ずアリババ・ブランドに対する風評をちゃんと守れるか? という問題があります。またプラットフォームへの信頼性、マーケットプレースを律するルールをちゃんとユーザーに徹底できるかどうか? さらにセラーの持ち込む商品の品質、満足度の問題もあると思います。
さらに消費者保護の問題、決済の確実、正確、安全性の問題、オープン・プラットフォームを維持することの大変さ、今後もバイヤーならびにセラーに利便性の高いツールを提供し続けられるか? などもポイントになると思います。
その他、セラーに満足のゆくトラフィックを届けられるか? モバイルへの移行がスムーズに出来るか? カスタマー・サービスの問題、コーポレート・カルチャーの維持、アリペイに対する信頼の維持、行政からの介入、データの管理、ロジスティクスの不備、ハッキングの脅威、模造品、海賊版などが販売され、評判を落とすことにも注目したいと思います。
最後にアリババ・パートナーシップという投票構造が、通常のデュアル・クラス方式の上場株におけるガバナンスと、だんだんかけ離れたものになってしまうことからくる問題は、今の時点では予測しにくい気がします。
いずれにせよ、若し中国のeコマース市場が今後も年率36%程度で成長してゆくのなら、アリババの業績はエスカレーター式に伸びてゆくことが十分予想できます。この手の安定成長ストーリーはアメリカのモメンタム筋が最も好むところです。
現在、アリババ・パートナーシップのメンバーは27人で、そのうち22人がアリババの社員です。このメンバーは固定ではなく、毎年、新しいパートナーが加えられます。メンバーの75%から支持されないと加盟できません。この投票の際、それぞれのパートナーに与えられた投票権は、ひとり一票です。
今回、アリババのIPOが香港ではなくなぜニューヨークに上場される運びになったのか?というと、香港市場よりニューヨーク市場の方が、このアリババ・パートナーシップという投票形態に寛容だからです。
外国企業が中国国内でインターネット事業を行う際は中国政府から様々な制約を受けます。一例として通信会社の外人持ち株比率は50%を超えてはいけないというルールがあります。
そこで中国国内法に基づいた変動持分事業体(VIE)を設立し、「これは中国の会社だ」ということで事業を行った上で、その利益はケイマン島に設立されたオフショア企業に一定の契約に基づき渡される形態をとっています。このケイマン籍の会社が、今回、IPOされるわけです。
なおこのような事情はアリババに固有なことではなく、中国のネット企業の多くが抱えている問題です。投資家としては、このような例は過去にも先例があり、これまでのところちゃんと機能しているということを知れば十分だと思います。
アリババの売上は:
1.出店者に対するオンライン・マーケティング・サービス
2.メンバーシップ
3.付加価値サービス
4.クラウド・サービス
などに対する対価となっています。つまり通常の商店のように商品を売った販売代金を売上高に計上する方法ではないということです。これが同社の利幅が異常に高い理由です。
中国のインターネット人口は6.18億人、そのうちネット・ショッピングをする人は3.02億人です。モバイル・インターネット人口は5億人です。(CNNIC調べ)
中国の消費に占めるネット・ショッピング比率は8%です。
iReseachは今後中国のネット・ショッピング市場は年率36.1%で成長すると見ています。
アリババは1999年に創業し、2003年にTaobaoを開始、2004年にAlipayを発表、2007年にAlimamaというオンライン・マーケティング・プラットフォームを開始、2008年にTmallというプレミアム・ブランデッド・プラットフォームなど、着実にイノベーションを行ってきました。
同社ならびに今回の売出しにまつわるリスクとしては、先ずアリババ・ブランドに対する風評をちゃんと守れるか? という問題があります。またプラットフォームへの信頼性、マーケットプレースを律するルールをちゃんとユーザーに徹底できるかどうか? さらにセラーの持ち込む商品の品質、満足度の問題もあると思います。
さらに消費者保護の問題、決済の確実、正確、安全性の問題、オープン・プラットフォームを維持することの大変さ、今後もバイヤーならびにセラーに利便性の高いツールを提供し続けられるか? などもポイントになると思います。
その他、セラーに満足のゆくトラフィックを届けられるか? モバイルへの移行がスムーズに出来るか? カスタマー・サービスの問題、コーポレート・カルチャーの維持、アリペイに対する信頼の維持、行政からの介入、データの管理、ロジスティクスの不備、ハッキングの脅威、模造品、海賊版などが販売され、評判を落とすことにも注目したいと思います。
最後にアリババ・パートナーシップという投票構造が、通常のデュアル・クラス方式の上場株におけるガバナンスと、だんだんかけ離れたものになってしまうことからくる問題は、今の時点では予測しにくい気がします。
いずれにせよ、若し中国のeコマース市場が今後も年率36%程度で成長してゆくのなら、アリババの業績はエスカレーター式に伸びてゆくことが十分予想できます。この手の安定成長ストーリーはアメリカのモメンタム筋が最も好むところです。