5回、アドリアン・ルナ(左)を攻める村田諒太(久野功撮影)
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◇プロ第5戦
村田はヘロヘロだった。10回判定勝ち。ジャッジの採点は6点差、8点差、10点差。数字だけを見れば大勝。しかし、試合内容は大いに不満の残るものだった。
「倒したかった。うまくいかないことを痛感させられた。6回からきつくなって、心が折れそうだった。ゴロフキンに今度会ったら、何のための練習だったんだと怒られそうです。ははは…」
リング上で村田はざんげした。7月に2週間、米国でミドル級世界最強といわれるWBA世界ミドル級スーパー王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)のマンツーマン指導を受けた。しかし、その成果を全く見せることができなかった。
一発一発のパンチの重さは、はるかにルナを上回った。9回、ロープに追い詰めてめった打ち。あと一歩まで攻めた。だが、仕留めきれなかった。攻めが単調すぎた。左ジャブが少なく、相手の頭を抑えながら右ストレートを打ち下ろす強引な攻めが目立った。力みすぎからスタミナを使い果たしてしまい、中盤以降は明らかにバテた。
試合後の控室。村田の顔は腫れて、傷も目立った。「あー、こんなに会見をしたくないのは初めてだなあ」と、らしくない弱気なつぶやきを漏らした。「6回を終わった後、まだ4回もあるのかと思った。ボクシングを始めて、初めて弱気になった。でも、何事もネガティブにとらえないで、良い経験をしたぐらいに思わないと、上には行けない」。目指すのは、あくまで来秋の世界王座奪取。立ち止まることは許されない。 (竹下陽二)
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