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山本昌史上最年長勝利 現役続けられる理由は「しつこい性格」

セ・リーグ  中日6−0阪神 (9月5日  ナゴヤD)

<中・神>お立ち台では、うっすら涙を浮かべる山本昌
<中・神>お立ち台では、うっすら涙を浮かべる山本昌
Photo By スポニチ

 「球界のレジェンド」が歴史的1勝を挙げた。中日・山本昌投手(49)が5日、阪神戦で今季初登板し、5回を5安打無失点と好投。49歳25日で勝利投手となり、1950年に48歳4カ月の阪急・浜崎真二が中継ぎで挙げた最年長記録を64年ぶりに更新した。5カ月遅れでたどり着いた31年目の1軍マウンドで、最年長出場や最年長先発なども塗り替える記録ラッシュ。これからは投げるたびに伝説を刻んでいく。

 一心不乱に腕を振った。49歳左腕が投じた魂の90球。60年以上も眠っていた最年長出場、そして最年長勝利記録を塗り替えた山本昌は、6歳年下の谷繁兼任監督からウイニングボールを受け取り、ポケットにしまった。

 「想像よりもいい結果。幸せな野球選手だと思う。皆さんに感謝している」。何度も上がったナゴヤドームのお立ち台だが、緊張からか、その表情は少し紅潮していた。

 ついに迎えた31年目の初陣。通算577試合目の登板だった。「ペース配分なんか考えず、それこそ捨て身。壊れたら壊れたで良いと思っていた」。初回いきなり1死三塁のピンチを招いたが、鳥谷を二ゴロ。続くゴメスは134キロの直球を低めに決め、見逃し三振に仕留めた。これでリズムに乗り、5回を5安打無失点。緩急を駆使した円熟の投球は健在だった。

 今季は開幕前から記録への興味がついて回った。ケガ予防のためオフの間に5キロ減量し、約20年ぶりに新しい変化球にも挑んだ。大みそか恒例の親族の集まりも初めて欠席し、開幕へ万全を期したはずだった。しかし、春先からなかなか調子が上がらず、6月にはナゴヤ球場で「一人ミニキャンプ」を決行。フォームを一から見直した。「もう駄目か」という思いが頭をよぎったが「“夏に強い”と暗示をかけて」自分を奮い立たせた。

 引き際について考えない日はない。今季を迎える前にも、日米2人の名選手の引退表明会見での言葉が胸に響いた。「ジーターが“野球が楽しくなくなったから辞める”と言ったけど、宮本慎也(前ヤクルト)は“楽しいと思ったことは一度もない”と言った。逆だよね。いろいろと考えさせられたけど、やっぱり僕は宮本の言葉に共感した」。ここ数年、オフの前には「もういいんじゃないか?」「まだやれる」という葛藤の繰り返し。ただ、気持ちが引退に傾きかけた時も、体を休めることだけはできない。本人の言う「悪あがき」でつかんだ白星。現役を続けられる理由を聞かれると「しつこい性格だからじゃないですか」と笑った。

 この日は、昨オフに再婚した美智子夫人(33)のお手製の野菜や果物が入った「パワードリンク」を飲んで出陣した。「結果は最高だけど、内容はもっともっと欲を出していきたい」と山本昌。「50歳」という数字も見えてきた。これがゴールではない。「球界のレジェンド」の新伝説が始まった。

 ▼中日・谷繁監督 山本さんは49歳で90球投げて0点で抑えるんだから凄い。プロ野球の歴史で一人だけでしょ。うまくカーブとスクリューを使って抑えますよね。

 ▼ロッテ・中村バッテリーコーチ(現役時代に中日でバッテリー)本当に凄いこと。一緒にやっていた頃は、まさかこの年齢で白星をつかむとは思っていなかった。一つのことを徹底的にやる人。負けず嫌いでずっとやってきた結果だと思う。

 ▼タレント峰竜太(中日ファン)いくつになってもできる。年寄りぶっている場合じゃないぞという姿を見せてくれた。50歳でも、ぜひ勝利してほしい。 試合結果

[ 2014年9月6日 05:30 ]

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