デング熱、新宿中央公園でも 代々木公園以外で初、30代男性感染か
厚生労働省は5日、代々木公園(東京都渋谷区)や周辺を最近訪れておらず、海外渡航歴もない埼玉県の30代男性がデング熱に感染したと発表した。8月に新宿中央公園(同新宿区)で蚊に刺されており、そこで感染した可能性が高いという。代々木公園周辺以外での感染確認は初めて。新宿区は、中央公園への立ち入り自粛を求めるとともに、5日夕方から、園内での蚊の駆除を開始した。
厚労省によると、埼玉県の男性は、8月30日に突然の頭痛や発熱により発症。通院治療後、5日に国立感染症研究所の検査で感染が確認された。容体は安定している。
感染場所は、これまでと同じ代々木公園ではなかった。男性は8月18日から26日までの間に5回、新宿中央公園で蚊に刺されたという。海外渡航歴はなく、最近、代々木公園と周辺を訪れたこともないため、中央公園で感染した可能性が高いと判断された。新宿中央公園は、代々木公園の北約2キロに位置し、東京都庁の西側に隣接している。
専門家は、感染者が中央公園で蚊に刺され、その蚊が男性に感染させた可能性を指摘。蚊が風に乗り、公園間を移動した可能性もあるという。厚労省は、遺伝子配列の一致から、今回の感染は海外から入ってきた同一のウイルスが、拡大したものとみている。
新宿区は午後5時から、中央公園内の蚊の駆除を開始。蚊が多いとされる3地点に殺虫剤を散布した。園内は立ち入り禁止にしていないが、利用者には職員が注意を呼び掛けた。この日は、園内で7月14日から平日の連夜行われていた音楽イベントの最終日だったが、急きょ中止となった。
公園内の大半が封鎖された代々木公園でも、6、7日に開催予定だった日本インドネシア市民友好フェスティバルなど2イベントが中止に。10日開催予定の音楽フェスティバルも原宿のライブハウスに場所が変更となった。
いずれも封鎖されていない南側地区で開催予定だったが、主催者らは「来場者の安心・安全を第一に考えた」などと理由を説明。6、7日開催予定のペルー料理のイベントは延期となった。
また、代々木公園に隣接する明治神宮は5日朝から、JR原宿駅に近い参道脇の約600メートルの小道を通行止めにした。参拝に影響はない。厚労省などによると、5日までに14都道府県で72人の感染を確認した。