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【政治】

慰安婦報告「修正不要」 国連調査担当者

 【コロンボ=共同】旧日本軍の従軍慰安婦を「性奴隷」と位置付け、日本政府に謝罪や賠償を勧告した一九九六年の国連報告書(クマラスワミ報告)を作成したスリランカの女性法律家、クマラスワミ元特別報告者が四日までにコロンボで共同通信と会見し、報告書の内容に「修正は必要ない」との考えを示した。

 朝日新聞は八月、女性を慰安婦にするため、済州島(チェジュド)(現・韓国)で強制連行したとする元山口県労務報国会下関支部動員部長の吉田清治氏(故人)の証言を虚偽だったと判断し、報道の一部を取り消した。

 報告書は吉田氏の著書を引用しているが、クマラスワミ氏は吉田証言について「証拠の一つにすぎない」と主張。独自に行った元慰安婦への聞き取り調査などに基づき「日本軍が雇った民間業者が(元慰安婦らを)誘拐した」事例があったとし「募集は多くの場合、強制的に行われた」と持論を展開した。

 朝日新聞の報道取り消し後、クマラスワミ氏が日本メディアと会見したのは初めて。

 クマラスワミ報告については、吉田証言など信頼できない情報にも立脚しているとの批判があるが、クマラスワミ氏は調査に基づき「慰安婦たちには逃げる自由がなかった」と強調。慰安婦を「性奴隷」と定義したのは妥当だったと述べた。

 慰安婦問題への日本政府の対応について「日本の人権政策は非常に進歩的だが、(慰安婦問題に関して)年老いた被害者のために、なぜ正義が実現できないのか理解できない」と語った。

 元慰安婦への償い事業のための「アジア女性基金」が設立された九五年当時よりも、日本の対応が後退していると指摘。慰安婦問題を「日韓関係悪化の根源にすべきではない」と述べ、両政府間の早期解決を促した。

 クマラスワミ氏は人権問題や女性の権利擁護の専門家。九四〜二〇〇三年、国連人権委員会(後に人権理事会に改組)の「女性に対する暴力」の特別報告者。〇六〜一二年に子供と武力紛争担当の国連事務総長特別代表を務めた。

 

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