慰安婦問題:吉田氏証言 NHKも放送で使用
毎日新聞 2014年09月04日 21時05分
NHKは4日、従軍慰安婦問題をめぐり、戦時中、韓国・済州島で朝鮮人の女性を強制連行した体験を自ら明らかにしていた吉田清治氏(故人)のインタビューを、1991年11月のニュースで伝えていたことを明らかにした。
吉田氏の証言については朝日新聞が8月5日の紙面で「虚偽だと判断し、記事を取り消します」と訂正。これを受け、NHKも過去の放送について調べたところ、韓国人元慰安婦らが同年12月に日本政府に補償を求めて提訴する前月に、その動きを伝えるニュースの中で吉田氏のインタビューを放送していた。この日の定例記者会見で籾井勝人会長は「(証言を)事実として伝えたのではなく、証言の中にこういうものがあるという伝え方をしている」と説明。訂正や取り消しの放送をする必要はないとの見解を示した。
番組を統括する編成局の松坂千尋・計画管理部長は「当時から慰安婦問題についてはいろいろな意見、見方があったので、政府の受け止め方などさまざまな見解も踏まえて放送した」と説明した。
このほか92年2月に朝鮮人の強制連行について扱った大阪ローカルの報道番組で、吉田氏の証言を取り上げたという。【望月麻紀】