中日先発の山本昌=ナゴヤドーム(撮影・森本幸一)【拡大】
巨体をダイナミックに使って最速135キロの“遅球”を投げ込む。100キロ台のカーブと代名詞のスクリューボールも効果的に決まった。今季初先発の山本昌は90球、ひたすら腕を振った。
「きょうは壊れてもいいぐらいの気持ちで、力を振り絞っていきました。記録は64年ぶり? スゴイわな、数字が。ひと事みたい」
ようやくたどり着いたマウンドだった。記録がかかったシーズンだったが、2軍では1勝5敗、防御率5・58と満足いく投球ができなかった。5月には2軍の先発枠を外れ、“ミニキャンプ”を敢行、50歳を目前にしてフォームを見直した。
炎天下のナゴヤ球場で若手に交じり、体のキレを求め続けた。「俺以上に練習してる若手って、このチームにいるのかな」という自負が、諦めない原動力となっている。
試合後、谷繁監督からウイニングボールを受け取ると、ポケットに入れた。「僕にとっては開幕戦」という言葉に実感がこもる。