インディーの困難とクラウドファンディングの未来
というわけで、4Gamerに業界で話題となった「モンケン」プロジェクトの顛末を記事にしてみました。
【山本一郎】それぞれのモンケン。クラウドファンディングのあした
http://www.4gamer.net/games/206/G020600/20140905067/
すべての関係者から事情を聴いた現状と問題意識を書き連ねてみたんですが、非常に幸いなことにコンテンツ自体は相応のクオリティですでに完成間近の状態であったため、取材したタイミングでうまく対立状態のメンバー同士の橋渡しができ、無事リリースできる状態のようです。何よりも、期待してくれた人たちにしっかりコンテンツが届けられることが大事だと思ってましたので、どういう形であれリリースできるというのは素晴らしいことです。
取材していて思ったんですが、ぶっちゃけこれだけの実績あるメンバーでインディーとはいえゲーム作りのファンディングをするわけですから、そのローンチに250万円という募集で収まるはずがないんですよ。だってみんな毎月生活費あるわけじゃないですか。ゲーム作りというのは、なかなか片手間でできることではありませんので、時間がかかるほどに採算という意味では辛くなります。
で、それっていまのインディーシーンについても、日本であれアメリカであれ「どうやってそれで食っていくのか」が見えないと本当に良質なものってなかなか集まらないと思うんですよ。今回の「モンケン」のようなデジタルも、ボードゲームを中心としたアナログ界隈も、TRPGも。
今回、一連の取材をしていて思ったのは、本当に各位がゲームが好きだった、ということでした。好きだからこそ完走できたし、意地があるから粛々と政策が続いていたわけです、お金は無かったのに。そういうところが、ゲーム界隈の裾野を支えているのだと思いますし、文化としてのゲームが力強いという理由でもあるのだと思いました。
そして、そういう試みをやっていく中でのクラウドファンディングについては、CAMPFIREが前面に立っておりましたけれども、家入一真さんの良い意味でのノリのところを事業としてどうアレンジしていくのかという点で、石田代表が仰ることは地に足がついておられました。悪い印象はまったく持たなかったです。
何よりも、プロジェクトが破綻に陥って返金騒動になる事例が物凄く少ない(900件あまりの募集件数に比べて、問題となったのはたった2件という話)のは驚きです。アメリカでは、Kickstarterでのトラブルが多数話題になっている中で、日本土着のこれというのは素晴らしいことだと思うんですよね。
ということで、どうであれリリースできたチーム「モンケン」に対しては、残念ながら解散にはなるんだろうけど各位のさらなる飛躍を祈念する次第です。そして、それを支えたCAMPFIREや、何よりも夢を信じて資金を投じたパトロンの方々にも惜しみない拍手を送りたいと思ったわけであります。
ありがとうございました。