AMV4 コーデックもリリースされ、amaman 氏のコーデックベンチも掲載されたため、追試的な意味で Ut Video Codec Suite vs AMV4 のベンチマークを行います。
最初に結論を言っておくと、Haswell では AMV4 の圧勝です。性能的には勝ち目はありません。
以下のマシンでベンチマークを取ります。
- CPU
- Core i7-4770 3.4GHz (4C8T) / TB 無効化, 省電力無効化
- MB
- ASUS H81M-E
- RAM
- DDR3-1600 16GB
- OS
- Windows 7
- Video
- CPU 内蔵
映像は crowd_run と big buck bunny を使います。
コーデックは Ut Video Codec Suite 14.2.0 と AMV4 4.0.1 が対象です。なお、私は AMV コーデックのライセンスキーを持っていない*1ので、ロゴが入る状態になります…が、大勢に影響はないでしょう。AMV4 の k1 は全部キーフレーム k30 は30フレーム毎にキーフレームを挿入する(デフォルト設定)、となります。Ut Vodeo Codec Suite の div1 はフレーム分割数 1 です。
まず big buck bunny の場合。CG アニメなのでノイズは無く、高い圧縮比が期待できます。(enc と dec の単位は fps)
ratio | enc | dec | |
AMV4 DR2 k1 | 2.89 | 1553 | 1764 |
AMV4 DR2 k30 | 3.82 | 1608 | 2000 |
AMV4 DR3 k1 | 3.42 | 1034 | 1114 |
AMV4 DR3 k30 | 4.17 | 1044 | 1183 |
ULRG left div1 | 3.27 | 267 | 189 |
ULRG median div1 | 3.98 | 269 | 163 |
AMV4 DY2 k1 | 2.34 | 2469 | 3165 |
AMV4 DY2 k30 | 3.60 | 2532 | 3460 |
AMV4 DY3 k1 | 3.04 | 1645 | 1808 |
AMV4 DY3 k30 | 4.08 | 1681 | 1916 |
ULY2 left div1 | 2.63 | 391 | 286 |
ULY2 median div1 | 3.40 | 386 | 166 |
全く相手になりません。
次に crowd_run の場合。実写なのですが拡大してよく見てみると割とノイズが乗っています。
ratio | enc | dec | |
AMV4 DR2 k1 | 1.86 | 385 | 443 |
AMV4 DR2 k30 | 1.77 | 383 | 487 |
AMV4 DR3 k1 | 2.12 | 259 | 283 |
AMV4 DR3 k30 | 2.08 | 262 | 298 |
ULRG left div1 | 2.27 | 75 | 47 |
ULRG median div1 | 2.60 | 72 | 39 |
AMV4 DY2 k1 | 1.55 | 620 | 812 |
AMV4 DY2 k30 | 1.53 | 615 | 875 |
AMV4 DY3 k1 | 1.87 | 414 | 451 |
AMV4 DY3 k30 | 1.81 | 412 | 469 |
ULY2 left div1 | 1.87 | 114 | 70 |
ULY2 median div1 | 2.27 | 112 | 41 |
圧縮比は上回っていますが、相変わらず速度は下回っています。
結論として、ノイズの少ない映像に関しては AMV4 の圧勝、ノイズの多い映像で圧縮率をそれなりに重視したい場合のみ Ut Video Codec Suite ということになります。圧縮率を非常に重視する場合は、ここではベンチマークを取っていませんが、MLC などが候補になるのでしょう。
Ut Video Codec Suite (のフォーマット)の性能以外の利点としてはマルチプラットフォームが挙げられます。QuickTime for Mac 版は(あまり愛は無いのですが)公式にリリースしていますし、FFmpeg/Libav にもエンコーダデコーダともに実装されているため、相互運用性については比較になりません。
おまけ:Nehalem (Core i3-540 3.07GHz) で big buck bunny の場合(圧縮比は Haswell と全て同じなので省略)
enc | dec | |
AMV4 DR2 k1 | 652 | 705 |
AMV4 DR2 k30 | 662 | 822 |
AMV4 DR3 k1 | 420 | 519 |
AMV4 DR3 k30 | 427 | 544 |
ULRG left div1 | 194 | 168 |
ULRG median div1 | 195 | 139 |
Ut Video Codec Suite の場合は Haswell との差はあまり無いのですが、AMV4 は Haswell では AVX2 を活用して爆速になっていたので差が縮みます。これだと Ut Video Codec Suite はマルチスレッド動作させることで速度でも上回ります。
Haswell より前の CPU を使っている場合は、まだ Ut Video Codec Suite の「意味がある」かもしれません。
*1: AMV2 が出た時に、レビューを書いたらライセンスキープレゼントというキャンペーン(?)をやってましたが、結局書かなかったんですよねぇ… 自分で使うわけでもないから買う気もしないし。
AMV4 の速さは具体的にどれくらいすごいのか
ベンチマーク結果を見ると AMV4 は(特に AVX2 が使える環境では)爆速なのですが、具体的にどれくらい爆速なのか、というお話。 big buck bunny を用いたベンチマーク結果、先の記事では速…
ツイッターを拝見しました。
https://twitter.com/umezawa_takeshi/status/486787711647248385
https://twitter.com/umezawa_takeshi/status/486800585010593792
Canopus(GrassValley)Lossless(CLLC)は、Grass Valley Codec Option(無償版)を入れると
エンコード・デコードできますが、さっき軽く試してみたところ、
圧縮率はULY2よりもやや低い程度、速度はULYの約5分の1という感じでした。
ちなみにGrass Valley Codec Option(無償版)の
HQ/HQXはRGB32/24とYUY2でしか入出力できないようです。
v210は通りませんでした。
丁度EDIUSスレでHQXのQ0,M100は可逆なのかという話が出てますが、
これでは試せませんし、可逆圧縮できるという話は見かけませんね。
おお、わざわざすみません。ごちゃごちゃいう前にインストールして確かめてみればいいんですな(^^;
で、試したところ、YUY2 入出力では ULY2 よりちょっと性能が悪く、RGB32 入出力では圧倒的に性能が悪い(存在意義が無いレベル)ようです。むーん。
HQX は内部 10bit が謳われているけど、少なくとも v210 は通らないんですね。Y210 とかなら通るのかな… DirectShow フィルタも無いし実験的に調べるしかなさそうです。(HQ の方は DirectShow フィルタがある)
CLLCってRGB可逆もあるんですね。YUV4:2:2だけだと思いこんでしまってました。
また、試しにVapoursynthを入れてvctestにP210とP216を渡してみましたが、
「再圧縮なし」しか選べず、HQXは出てきませんでした。
Y210は渡し方がわからず不明です。
ええ、vctest に -c オプション(ロスレスチェック)を付けて通ったので、RGB32 入出力で内部 RGB が使えるようです。
HQX の方は…無償版ではとりあえず見れるだけで有償版(?)でないと 10bit フォーマットは使えないのかもしれません。(無償版で YUY2 から作った HQ をデコードしたら YUY2 で出てきました)
HQXはVapoursynthのAVISource()で読んでもYUV422P8になってしまいますね。
本日7/11付けで「GV Codec Option Ver.7.31(beta)」が公開されたのですが、
リンクミスでまだダウンロードできないようです。
もしかしたら10bit入出力が可能になるのかもしれないと淡い期待を抱いてます。
「GV Codec Option Ver.7.31(beta)」が落とせたので試してみましたが、
HQXは相変わらずv210/P210/P216ともに受け付けてくれませんし、
出力もYUV422P8でした・・・。(´・ω・`)
更新履歴も無いので何が変わったのかわからない・・・。
更新履歴が無いのは困りものですねぇ…
続報ですが、サポートからの回答(本来はサポート対象外ですが)によると
HQXコーデックの無償版で10bit入出力に対応しているのは、
QuickTime版コーデック(Mac版のことですかね?)のみだそうです。
HQXコーデック対応製品で使われているAPIは有償契約になるとのことです。
この度動画録画のためにUt Videoを使わせて頂きました。
こんな素敵なものを作っていただいて本当にありがとうございます。