September 5, 2014
朗報をお届けしよう。土曜日に小惑星2014 RC(通称“ピットブル”)が地球をかすめて通過するが、世界が終わりになる心配はなさそうだ。それどころか、天文ファンにとっては嬉しいバーチャルの天体観測が楽しめるらしい。
2014 RC(直径約20メートル)は8月31日に2つの観測チームによって個別に発見された。NASAの発表によると、この小惑星はアメリカ東部標準時の9月7日14時18分(協定世界時18時18分、日本時間8日3時18分)にニュージーランド上空を通過する際、地球に最接近するという。最接近時の地表からの距離は約4万キロとされており、これは地球から月までの距離の10分の1に相当する。
2014 RCは地球同期衛星の軌道の外側を通ることになる。2013年2月15日にやってきた小惑星2012 DA14の場合、これとは事情が違っていた。2012 DA14の直径は約45メートル。地球・・・
2014 RC(直径約20メートル)は8月31日に2つの観測チームによって個別に発見された。NASAの発表によると、この小惑星はアメリカ東部標準時の9月7日14時18分(協定世界時18時18分、日本時間8日3時18分)にニュージーランド上空を通過する際、地球に最接近するという。最接近時の地表からの距離は約4万キロとされており、これは地球から月までの距離の10分の1に相当する。
2014 RCは地球同期衛星の軌道の外側を通ることになる。2013年2月15日にやってきた小惑星2012 DA14の場合、これとは事情が違っていた。2012 DA14の直径は約45メートル。地球から2万7630キロの距離にまで接近し、多くの通信衛星の軌道の内側を通過した。
NASAは声明の中で、「2014 RCが地球や人工衛星に害を及ぼす恐れはなさそうだ。今回の接近は、小惑星について詳しい観測と調査を行うためのまたとない機会となるだろう」と述べている。将来的に2014 RCが地球に衝突する可能性がないかどうか、引き続き追跡調査が行われることになっている。
◆バーチャル天体観測
ピットブルの視等級は最高で11.5に達すると見られている。つまり、中型の反射鏡(15~20センチ)さえあれば家庭用望遠鏡でも十分に観測可能ということだ。
NASAとインターネットの天文サービスSloohは、2014 RCが地球に接近する9月6日土曜日からインターネットでライブ映像をストリーム配信する予定だという。映像は、アメリカ東部標準時の9月6日22時(協定世界時7日2時、日本時間9月7日11時)より、Slooh.comで無料公開される。
ありがたいことに、ピットブルが地球に衝突する可能性は当面の間ないということだ。しかし、もし仮に地球に衝突することがあったとしたら、その影響は昨年シベリアの都市チェリャビンスクで発生した隕石の空中爆発を上回るものになりそうだ。このときは、直径約20メートルの隕石がシベリアの上空29キロで突然爆発し、原子爆弾20個以上に相当するエネルギー(TNT換算で約460キロトン)が放出された。
シベリアの隕石爆発では、爆風によって1000人以上が負傷し、数千軒の建物が損壊、数えきれないほどの窓ガラスが粉々に砕け散った。
これまでに発見されている地球近傍天体(NEO)の数は1万1000個以上。地球に害を及ぼす可能性があるとして、NASAではこれらの天体の追跡調査を続けている。
Illustration courtesy of NASA/JPL-Caltech