1 記事の紹介
BWCHINESE中文網に掲載されていた記事を翻訳して紹介しているものです。
内容は、「中国を取り巻く複雑な政治状況を受け、周辺20数カ国の間で『中国を恐れ親日になる』国が静かに増えている」というものです。
その例として「インドのモディ首相は親日派とみられている」としています。そして、「経済分野での一層の関係強化だけでなく、安全保障面でも日本とインドは協力を強化しようとしている。すなわち中国に対するけん制だ。」ともしています。
他にも、インドの高速鉄道の受注問題で、「価格的に日本よりはるかに優位な中国だが、インドは中国の高速鉄道にまったく興味がない。」という例も出しております。
そして「アジア諸国の多くは、中国が領土問題で態度を硬化させるとともに、中国の台頭に対する懸念を強めている。一方で親日の潮流がゆっくり形成されているのだ。」と記事を結んでいます。
2 冷戦
この記事を見て真っ先に思いだされたのが、冷戦です。冷戦時代アメリカもソ連もかなりの軍事的支出を必要としておりました。
そして、冷戦はドミノ理論などの代表されるように、陣取りゲームの要素もあったため、結果として戦略的にあまり重要でない地方(国)でも、他陣営へのとりこみを防ぐため資金援助などを行う必要がありました。
こうした資金援助に耐え切れずソ連はおかしくなってしまったわけですが、その一方でこうした体制が自国に恩恵をもたらしていた面も否定できません。
3 冷戦2
つまり、敵が存在することにより、自分の陣営の引き締めを行うことができたわけで、冷戦時代の日本や欧州などを見てもわかるとおり、ソ連に対する恐怖のため、最後にはアメリカに従うという選択肢しかありませんでした。
日本の場合冷戦終了後、アメリカに対する従属関係は弱まってきているのは間違いないと思いますが、今度は中国との関係悪化で、アメリカの庇護を必要としており(アメリカが尖閣問題で日本支持を表明したことに対する中国の反応)、なかなか独り立ちするのは難しい様です。
さらに韓国との関係悪化でも、アメリカを味方につけて韓国に圧力をかけるという方法が効果的で、その点でもアメリカの庇護を必要としており、この2国のために日本外交がかなりの制限を受けているのは間違いないかと考えます。
4 中国
そういう意味で、中国の台頭に伴い、中国の脅威を感じている国々が日本に対して神話的な態度を示してきているというのも喜ばしいことではある反面、諸手を挙げて喜ぶ気にはなれないのが正直なところです。
つまり、日本も中国の台頭のために、アメリカの影響力を完全に払しょくすることができない状態が続いている中で、他国が親日的な態度をとったとしても本当にそれは親日と言えるのかという問題があるからです。
それに、本当に日本のことが好きなら、中国の圧力がなくても、「親日」的態度をとるはずで、こうした中国の脅威という状況下でやむを得ず親日的態度というのは、あまり望ましいことではないと考えます。
5 最後に
人間どうしでも、恋愛をするにあたって、本当はあまり好きではなかったのに、切羽詰まった状況でやむを得ず、付き合い始めた関係というのはどうかと思っているという話です。
当然、その前に選ばれるにはそれだけの魅力があるのは間違いないので、選ばれないよりは、はるかに望ましいわけですが、それでもいろいろ引っかかるところがあると思っています。
そういう意味でも、いろいろ思うところがあったが故の今日のエントリーでした。
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