未確認動物「ニューネッシー」の謎
この世のものとは思えないほどにドロドロに溶けたその異様な遺体は、写真で見ただけでもとてつもない異臭を放っていることがわかる。この生物の全長は10mほどだろうか。空高く釣り下げられたそれは、頭部が異常に小さく見え、長くのびた脊椎骨と、まるで肋骨のような繊維状のものが見てとれた。
水深約300mの深海から引き上げられた巨大生物。これを収容したのは、ニュージーランド沖で操業していた日本のトロール漁船瑞洋(ずいよう)丸(2455t)。1977年(昭和52年)のことだった。
その当時の船長は、撮影後、他の漁獲物に悪い影響があるとして海洋投棄してしまったため、この生物が何かを断定するためのヒントは、この写真と持ち帰った繊維状の物質だけ。つまり、専門家が生物種を査定することが非常に困難な状況であり、更に謎が深まったのだった。
未確認動物「ニューネッシー」という名前を聴いたことがあるだろうか。
私は小学生の頃、未確認動物全集のような本が愛読書だった。そこに掲載されていた、まさに絶滅してしまった首長竜を彷彿とさせるドロドロの遺体の写真。破れるほどまでに見たそのページには「ニューネッシー」の文字。
日本のトロール漁船が収容したこの謎の遺体こそが、その後「ニューネッシー」と名付けられ、この年の7月20日付けの朝刊社会面トップにスクープされた。「世紀の大発見(朝日)」や「ニューネッシー、世界を走る(サンケイ)」などセンセーショナルなタイトルで報道された。また、日本だけでなく世界中でも大論争を引き起こした。
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