原発事故:東電、控訴せず…避難中の自殺賠償判決

毎日新聞 2014年09月05日 17時58分(最終更新 09月05日 20時34分)

 福島第1原発事故に伴う避難生活中に自殺した渡辺はま子さん(当時58歳)の遺族が東京電力に損害賠償を求めた訴訟で、東電は5日、自殺と事故の因果関係を認めて約4900万円の賠償を命じた福島地裁判決を受け入れ、控訴しないことを遺族側に伝えた。遺族側も控訴しない。原発事故後の避難者の自殺で、東電の賠償責任が裁判で確定するのは初めて。

 東電広報部は「早期に訴訟を解決すべきだと考えた」と説明した。8日に同社の福島原子力補償相談室の近藤通隆室長らが、福島県川俣町の渡辺さん宅を訪れ、謝罪するという。

 渡辺さんの夫幹夫さん(64)は東電の控訴断念を知り、「はま子の悩みや苦しみを分かってくれたのだと思う。泣き寝入りせず、裁判に訴えてよかった」と話した。【喜浦遊、栗田慎一】

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