湘南海の家事情:客減少…厳しいルールより天候のせい?
毎日新聞 2014年09月03日 22時28分(最終更新 09月03日 22時32分)
大音量で音楽を流すなどの海の家の「クラブ化」を巡り、条例や自主ルールといった規制を設けた神奈川県・湘南地区の海水浴シーズンが、8月末に終了した。対策の効果と観光への影響はどうだったのか。8月31日時点の来場者数や警備員の注意件数などからビーチの変化を探った。
同県逗子市は海の家の営業時間を午後6時半とし、砂浜での飲酒やバーベキュー、入れ墨の露出、拡声機を使った音楽などを禁止する「日本一厳しい条例」で、風紀の乱れの解消を目指した。海の家事業者で作る「逗子海岸営業協同組合」は条例の無効を訴えて提訴したが、最終的には市の基準に沿った自主ルールを策定、営業した。
市によると、6月27日の海開きから66日間の海水浴客数は20万1300人と昨年の41万7000人から半減。条例に基づく指導・注意件数は▽飲酒2761件▽バーベキュー15件▽入れ墨・タトゥーの露出984件▽拡声機による音楽383件−−などだった。
平井竜一市長は「クラブ化営業が始まる前の水準に戻ったのではないか。ファミリービーチが復活し(条例の改正を)決断して良かった」と効果を強調したが、ある事業者の男性は「この夏の営業で黒字になった店はどこにもない」と肩を落としていた。
業者に対しマナー向上に必要な措置を義務付ける「市海水浴場のマナー向上に関する条例」を定めた同県鎌倉市は、3海水浴場の来場者数が計92万7200人と昨年の102万8800人より10万1600人減った。市観光商工課は「海水浴客が減ったのは晴れた日が昨年と比べて10日以上少なかった影響。ピークの人数は今年が上回った」と分析。一方で、市民からの苦情は先月20日までに52件と昨年の31件を超えており、松尾崇市長も「大幅に改善されたとは捉えておらず、(今後)規制を緩めることはあり得ない」と述べた。
同県葉山町は、海の家の終業時間を午後11時から午後9時に早めるなど3海水浴場の各海岸組合が自主ルールを設け、町は条例などで規制を強化しなかった。3海水浴場の来場者数は8万7143人と昨年の9万6624人に比べ約1万人減ったが、町は主に天候の影響と分析している。【田中義宏】