政治・行政

神奈川県の競輪組合が赤字予想で解散検討 穴埋めは各自治体で

 「神奈川県競輪組合」をつくる県と横浜、横須賀市が、同組合を来年3月末で解散する方向で検討に入ることが4日、分かった。国の特例措置を活用し収支改善を進めてきたが、特例適用が終わる2015年度以降は毎年赤字が避けられない見通しとなり、存続させれば累計赤字も膨らみ続けることが理由。年内に組合の存廃を判断するが、解散した場合は組合が抱える50億円弱の累計赤字を3自治体で穴埋めすることになる。

 関係者によると、県と横浜、横須賀市は今月開会の県・市議会定例会で同組合の厳しい経営見通しをそれぞれ報告する。議会側の意見も踏まえ、競輪事業からの撤退と組合の存廃を年内に判断する見通しだ。

 県競輪組合は、民間の花月園競輪場(横浜市鶴見区)を借りて競輪事業を行ってきた3自治体が事業運営の効率化を狙い、1998年4月に一部事務組合として設立。09年度末に同競輪場での開催を廃止してスリム化し、川崎と小田原の競輪場での借り上げ開催に特化してきた。

 10年度からは、国の同意を得て車券売上高の2%前後を競輪振興法人(JKA)に納める交付金を猶予する制度や、多額の売り上げが見込めるG3級レース開催といった特例適用を柱とする経営改善計画をスタート。5年期限の特例適用を受け収支改善に努めてきた。

 関係者によると、経営改善計画でそれまで赤字続きだった同組合の単年度収支は黒字化し、毎年3億円程度の収益を計上。5年間の合計黒字額は約14億円となる見込みで、JKAに納付する約8億円を差し引いても約6億円の黒字となるという。

 しかし、特例が適用されなくなる15年度以降は再び単年度収支が赤字に転落する見通しとなった。事業を存続させた場合は50億円弱の同組合の累計赤字が拡大に転じることになり、存廃の判断が迫られる状況となった。組合を解散した場合は、累計赤字は組合規約にある収益分配率に応じて県が約56%、横浜市が約28%、横須賀市が約15%の割合で負担する。

 終戦後間もなく始まった競輪事業は近年、全国的に景気低迷やファンの高齢化などを背景に車券売り上げが低迷。車券売上高の一部を3自治体の会計に繰り入れる同組合の収益配分は98年の組合設立以来、ゼロの状態が続く。3自治体合計の競輪事業の過去の繰入額は累計で1千億円規模に上るが、近年は地方財政への寄与という本来の目的が果たせていなかった。

【神奈川新聞】