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日本の条理は世界の不条理!? 田島麻衣子

オックスフォードが教えてくれた
日本のブラック企業問題が世界から理解されない理由

田島麻衣子 [国連職員]
【第1回】 2014年8月29日
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イギリスの体育会系と日本の体育会系
両者の驚くべき恐ろしい違い

 筆者は、高校時代と大学院時代に、日英双方の体育会系の部活を経験した。前者は日本でフェンシングであり、後者はイギリス・オックスフォードのボートである。そして両者の間には、驚くべき恐ろしい違いがあることを知った。

 まず日本の体育会系の部活では、皆さんもご存じの通り、先輩の言うことには絶対服従である。学年で決まる厳しいカースト制度がひかれ、食事もコーチや先輩より先に箸をつけてはならないと注意された。ひたすら耐えることが目的のように見える練習は、精神を根本から鍛えるためのものだ。誰かの「根性」が入っていないと、共同責任として全員が居残りで体育館を走るように言われた。幸い試合では結果を残すことができたが、その時の「根性」がその後の人生で大きな役割を果たしたかどうかは、正直よくわからない。

 留学先のオックスフォード大学院では、やはり運動好きが高じてボート部に入った。朝5時半起きで川に出る特訓を数ヵ月続けたが、そこで見たものは、レースで勝つという「目的から逆算して発想された戦略の全て」であった。

 アメリカ人、イギリス人、インド人、中国人、そして日本人の私という国籍混合チームであったが、チームワークは徹底的に重視された。そのチームは、ボートを漕ぐというタスクのみで固く結束しており、それ以上またそれ以下のしがらみもなかったのである。コーチが提案するトレーニングの内容も、より合理的なやり方があれば、自由闊達に提案できる雰囲気があった。耐えるか耐えないかではなくて、いかに合理的に勝つか、がチームの最重要課題であった。

 「昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて練習し、生き残った者が命令する立場になる」

 これは、日本の体育会のコーチが言った言葉か。それともイギリスのコーチが言った言葉か。

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田島麻衣子 [国連職員]

新日本監査法人国際部(KPMG)を経て、国連世界食糧計画(WFP)勤務。これまでアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ラオス、アルメニアに日本を加えた7ヵ国で生活、60ヵ国籍以上の同僚達と共に仕事をしてきた。途上国/先進国、アジア/ヨーロッパ/アメリカ/アフリカを横断する自由な視点を持つ。見た目からは想像できないと良く言われるが、水も電気も通っていない途上国の河原での入浴も、普通にこなす。職業柄、各国の大使、外交官、様々な国の若手起業家達に知り合い多数。東京都出身。

オックスフォード大学院修士課程修了。青山学院大学国際政治経済学部卒。青山学院高等部終了(フェンシング東京都大会準優勝)。

田島麻衣子ブログ
Twitter: maiko_tajima

 


日本の条理は世界の不条理!? 田島麻衣子

日本の条理は、世界の不条理。中にいると良くわからないことでも、外からみるからこそわかることがある。このコラムでは、日本のビジネスパーソンが日常で経験する職場の気になる出来事が、世界の一流人達の間ではどのように扱われているのか、また日本で現在話題になっているトピックが、世界中のビジネスパーソンからどのように見られているのか等について書く。

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