デング熱:「短期間拡大…東南アでもまれ」熱帯医学専門家

毎日新聞 2014年09月04日 22時12分

 デング熱の感染拡大について、長崎大熱帯医学研究所の森田公一所長(ウイルス学)に聞いた。【聞き手・清水健二】

     ◇

 1カ所で短期間にこれだけ感染が広がるのは東南アジアなどの発生国でもまれで、特異なケースとみていい。代々木公園周辺には百匹単位でウイルスを持つ蚊がいるのではないか。感染者から検出されたウイルスは同じ型と聞いているが、遺伝子解析を進めて、元になった感染者が1人だけか、あるいは複数の感染源があったのかを分析する必要がある。

 殺虫剤散布や公園の封鎖などは、一定の効果を期待できる。継続的に対応してほしい。蚊はウイルスを子孫に引き継がないので、現時点で感染を疑う人たちの受診が一通り終われば、患者が大きく増えることはないはずだ。

 代々木公園で感染した人たちの周辺で感染が広がっても、家族間など限定的な範囲にとどまるだろう。日本の蚊は発生国ほど多くないため、感染が連鎖し、加速度的に患者が増える事態は起きないと思う。そもそもデング熱で重症化するケースは少ない。

 昨年も日本を旅行した外国人がデング熱に感染しており、以前から国内で感染者が発生していた可能性が高い。蚊が繁殖する季節は、どこでも感染の危険がある。代々木公園のように蚊が多く人の出入りも激しい場所に行く時は、なるべく刺されないような注意が必要で、行政は今後も蚊の駆除など適切な防除対策を実施してほしい。(談)

最新写真特集