坂本、初回V3ラン!長野&橋本に続いた速攻3連打
◆巨人9―4広島(2日・長野)
その瞬間、胃袋を突き上げるような歓声が沸き上がった。1点を先制された直後の初回無死一、三塁。坂本が、野村の初球の甘いシュートを左中間へ高々としばき上げた。8試合ぶりとなる13号3ランで、あっという間に逆転成功だ。「打つだけだったので。最高の結果になってよかった。本当にいい緊張感の中でやれた」。天王山初戦で飛び出した値千金の一撃。会心の笑みを見せた。
初回の鮮やかな速攻を締めた。戦列復帰の長野、橋本の連打。わずか4球で作られたビッグチャンスに乗った。「2人も思い切ったバッティングだったので、僕も思いきっていけた」。広島の勢いを、力ずくで食い止めた。5回1死一塁からも中前打を放ち、阿部の中押し打につなげた。野村との通算成績はこの日の2安打を含めて15打数9安打の6割。ただ、相性のよさ以上に、坂本自身が持つ天性の勝負強さが発揮された。
負ければ同率首位となる長野決戦。これまでは「いつも通りにやるだけ」と平常心を貫いてきた背番号6の言葉にも、微妙な変化があった。「大事な試合。どんな形でも勝つことが大事」と、泥くさく勝利を求めていた。8月中旬に3割近くあった打率は、試合前の時点では2割8分1厘。試合前の打撃練習では、打撃ケージに当たるような打ち損じも多い。大きく蹴り上げていた左足の上げ方も、ややおとなしくした。決して好調とは言えない中で結果を出した。
長野、亀井が戻り、坂本が打つ。役者がそろえばやはり巨人は強い。「もっともっと勝って、最後にみんなで喜べるように頑張りたい」。長野のファンに力強くV宣言を放った。(太田 倫)