国際金融の専門家で、積極的な政策提言で知られる伊藤隆敏・政策研究大学院大学教授(63)が2015年1月、米コロンビア大学の教授に就任する。今年3月までの12年間、東京大学教授を務め、金融政策や公的年金改革などで発言してきた。大蔵省(現財務省)副財務官や政府の経済財政諮問会議の民間議員も務めた。第一線の経済学者の海外移籍は珍しい。
伊藤氏は移籍理由を「研究環境が米国の大学のほうが優れている」と話している。国際的に大学間の人材獲得競争が激しさを増しており、日本の大学も「頭脳流出」への対策を迫られそうだ。
伊藤氏は早くから日銀にインフレ目標の導入を求め、金融政策によるデフレ脱却を唱えてきた。昨年は公的年金改革のための政府の有識者会議の座長として、運用改革の議論をけん引した。
伊藤氏は一橋大学卒業後、1979年に米ハーバード大学で経済学博士号を取得。今後は研究の舞台を米国に移すが、夏季には国内で研究活動をするという。日本の大学教員は授業の負担が重く、研究時間が確保しにくいとの見方がある。65歳を過ぎると待遇が落ちる場合も多い。
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