(2014年9月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
4年間続いたハンドバッグ戦争で和平協定が結ばれた〔AFPBB News〕
アクセル・デュマ氏(43歳)は昨年、エルメスのトップに就任すると、高級ブランド大手のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)に宣戦布告した。
フランスの大富豪、ベルナール・アルノー氏が支配するLVMHに対する闘いを強化することを誓い、これは「我が世代の闘い」だと述べた。
革製品とファッションブランドの老舗エルメスを過去177年間経営してきた創業一族の6代目に当たるデュマ氏の発言は、LVMHが密かにエルメス株の23.2%を買い占めた後にデュマ氏らが感じた憤りを如実に物語っている。
高級品業界の関心を集めていた確執は3日、意外な展開を見せ、LVMHとエルメスが和解した。それ自体が意義深い共同記者声明で、両社の最高経営責任者(CEO)は世界に対し、今後争いはないと述べた。
「アクセル・デュマ氏とベルナール・アルノー氏はともに、フランスの美を代表する両社の関係が修復されたことに満足している」と声明は述べた。
LVMHが保有するエルメス株を株主に分配
今回の和解をもたらした取り決めで、LVMHの株主は、現在保有しているLVMH株21株につきエルメス株1株を受け取る。同社の大株主には、LVMHの株式の42%を保有するクリスチャン・ディオールや、同5%を保有するアルノー氏の個人資産会社グループ・アルノーが含まれる。
LVMH、エルメス両社が12月20日までに実施されると述べた株式分配により、アルノー氏が個人的に保有するエルメス株の持ち株比率は約8.5%となる。
長身で細身、鋭い碧眼のアルノー氏は、高級品業界の超有名ブランドを羅列したリストに等しいものを築き上げた。いくつか挙げるだけでも、フェンディ、セリーヌ、ジバンシー、ルイヴィトンが含まれる。
アルノー氏はこの過程で、売上高で世界最大の高級品コングロマリットを築き上げた(昨年の売上高は291億ユーロ)。これに対し、エルメスの2013年の売上高はわずか38億ユーロだ。