昨日書いたこの記事に関して、一点補足しようと思う。
人生は見切り発射でうまくいく!!確かに僕もそうだったわ!!!! - 大彗星ショッカーのタロット占い( `・ω・´)
この記事で僕はこう書いた。
これから「何かを始めたい」と考えている全ての人は、「まず始めるのが大事」だということを忘れないでほしい。
人生は短い。
あなたには、あなたが今不安に感じている「問題点」を全部潰してるような時間は残されていない。
誰だって最初から100%だったわけじゃない。
30%くらいから始めて、それを徐々に100%に近づけていく。
そういうものだ。
だから、今すぐ始めよう。
あなたのしたいことを。
あなたはまだ、自分の完成度に自信が無いかもしれない。
それでも、今の自分に行える最善を尽くしてみよう。
そうすれば、なんだかんだで道は開けるものだ。
これ自体は、とくに間違ったことを言っているつもりはない。
ただこの言葉は、人によってちょっと不誠実な解釈をする人もいるかもしれないと思ったので、念のため釘を刺しておく。
その昔、僕はとあるITベンチャーで働いていた。
その会社では、前述のような「完璧を目指さない」「まずは始めることが大事」の精神がとても根付いていた。
……ただ、その言葉があまりに「軽く」使われすぎていた。
その会社のサービスは、いつもバグだらけだった。
その会社はSNS・クーポンサイト・企業向けCMSなど、様々なホームページを作ることで売上げを上げている会社だった。
だが、この会社が作るホームページは、とにかくUIが酷くて使いづらいサイトが多かった。
また、バグが多くまともに使えないサイトも多々あった。
これが無料SNSだけなら、「ユーザーが定着しない」という結果に至るだけなので自社の問題だけで済む。
しかし企業向けのCMSではそうはいかない。
営業の時点では
- 「業界一の販促ツール!」
- 「わかりやすく、直感的な管理ページ!」
なんて売り文句で契約をとっておきながら、実際にクライアントに渡すのは、バグだらけでUIが最悪の管理ページなのだ。
僕はこの会社にいた時代、クライアント企業と連絡を取り合っているときがいつも心苦しかった。
「あぁ、本当にすみません……」という気分に何度陥ったことか。
それでもこの会社の役員は
いつも自信満々に宣言していた。
「まずは始めることが大事!!」
「確かにうちの製品は現段階では完璧ではないかもしれない。でも僕たちにはいつかこの製品を世界一にするビジョンがある!」
「だからこれはけして『騙していること』にはならない!!」
と……。
このセリフを聞いたとき、
僕はこの会社はもうダメだと思った。
退職を決意した。
余談だが、吠えろペンというマンガがある。
これの16巻で、いい音楽が作曲できなくなったミュージシャンに、主人公の炎尾燃がこうアドバイスする。
「君に必要なのは、駄作を作る勇気だ」
「駄作で金をもらってこそ本当のプロ」
「納得できる仕事なんて、3回に1回できればラッキーだ!」
「毎回納得できる仕事をしようなんて、そんなわがままは俺が許しても、天が許さん!」
しかし炎尾は最後に、こうも締めくくる。
「だがな、駄作を世に出すことに慣れてしまったら、おしまいだぞ!」
確かに『駄作』でもなんでもいいから、とにかく始めることは大事だし、そのためには完璧主義を捨てることも大事だ。
だが、それに慣れてもいけない。
けして、そこんところを吐き違えてはいけない。
見落としがちだけど、わりと重要なことだと思う。
あのベンチャー企業の役員は
『100円のコーラを1000円で売る方法』という自己啓発本が大好きで、部下にもこれを読むようしきりに薦めていたが……
彼に本当に必要だったのは、今にして思えば『吠えろペン』だったのかもしれない。
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