マツダは9月4日、新型「マツダ ロードスター」を日本、アメリカ、スペインで同時公開した。発表会の会場から、まずは開発に携わったエンジニアの方々にお話を伺って来た。

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1989年に初代「NA」型が日本では「ユーノス ロードスター」という名前でデビューしたマツダ ロードスターは、2014年7月までに累計生産台数94万台を超え、「2人乗り小型オープン・スポーツカー」としては世界一となるギネス認定記録を今も更新し続けている。それほどまでに世界中で愛されている"ロードスターらしさ"とは何か? 本日初公開された4代目「ND」型ロードスターの開発は、そのことを改めて考えることから始まったようだ。



初めに断っておくが、今回、千葉県浦安市の舞浜アンフィシアターに、1,200名のファンを招待して行われたイベントで発表されたのは、文字通り実車の「公開」のみ。我々が身悶えするほど気になるエンジンのスペック、価格、発売日については一切明らかにされなかった(発売は2015年になってから)。全長3,915mm × 全幅1,730mm × 全高1,235mmというサイズ(ただし展示車の開発目標値とある)は、3代目の現行型より105mmも短く(初代と比べても40mm短い)、10mmずつワイド&ローだ。ホイールベースは2,315mm。3代目より15mmだけ短縮されたが、初代や2代目より45mmも長い。切り詰められたオーバーハングが見た目でも数字の上でも印象的だ。そして「オープン2シーター」であることはもちろん、「FRレイアウト」と「50:50の前後重量バランス」については、(まるでポルシェ911のリア・エンジンと同じように)今回もまたこれからも変わることがないという。さらに、先代「NC」型ロードスターと比べて「100kgを超える軽量化を実現」したことが宣言された。




なぜ、それほどの軽量化が可能になったのか? そして、なぜ今まではそれが出来なかったのか?

会場でファンの皆さんと歓談されていた、新型ロードスターの開発を担当されたエンジニアの方々に質問してみた。

「まず、材料置換ですね。超高張力鋼板とか、前回のモデルチェンジ当時では使えなかった部材が使えるようになった。それから今回のモデルチェンジでは、25年ぶりに白紙から開発することが出来たというのが大きいです。初代ロードスターの車重は900kg台でした。それが、要求される衝突安全性の強化などのために補強を入れることで重くなり、重くなった車体を走らせるために今度はエンジンの排気量を上げ、そうするとさらにシャシーや足回りを補強しなければならずますます重くなる、という"負のスパイラル"に陥ってしまった。今回は全て1から設計できるということで、まずボディを先代より小型化しました。そうするとエンジンのパワーも前より少なくて済む。すると足回りにも掛かる負担が減るから、見てください、ホイールも今までの5穴から、今回は4穴に変更になっています。そこでも少し軽量化できた。そういうグラム単位の軽量化の積み重ねです」

なるほど、タイヤも3代目より細い195/50R16サイズとなっている。ということは「SKYACTIV-G 直噴ガソリンエンジン」とのみ発表されているパワーユニットの出力も、現行よりドロップしていると想像される。



1998年に登場した2代目「NB」型ロードスターは、初代からの発展型と言えた。剛性強化や補強の追加などによる重量増を「最低限に抑えた」ことが当時の開発チームの功績だ。基本コンポーネントは受け継いでいるため、初代よりもさらに軽くすることは到底不可能だった。そして2005年、3代目「NC」型ロードスターは、マツダの4シーター・ロータリースポーツ「RX-8」とプラットフォームを共有するという"お家の事情"を課せられる。ボディは大型化し、それを活発に走らせるため、エンジンの排気量は2.0リッターに拡大された。今回の4代目「ND」型ロードスターは、公開された実車を見ると非常に小さく感じられる。

開発で最もご苦労された点は?

「白紙から開発するということで、まずロードスターらしさとは何か、ということを議論しました。これは人によって考えが違うし、日本・欧州・米国、みんな違う(笑)。その中から妥協しながら最大公約数を探るのではなく、誰もが納得できるものを決める。決まれば、あとはそれに向かって全力で努力するだけですから。でも、途中でやっぱりちょっと違うんじゃないかって修正したりすることもありました。それが1番難しかったことですね。」


世界中で愛されているからこそ、世界中の人々が、これこそマツダ ロードスターと納得するものを作る。ということはきっと、数値で置き換えられるものだけではない、感覚の領域も共有しなければならない。そのとき、何かベンチマークになるクルマはあったのだろうか?

「ご存じのようにこのクラスのこういうクルマは、世界で唯一、ロードスターだけです。例えばアクセラの開発なら、フォルクスワーゲン ゴルフとか、アウディ A3とか、比べて見ることもできるけれど、ロードスターにはそういう他メーカーのクルマがありません。だから、常に開発で意識したクルマ、それは歴代マツダ ロードスターです。特にNA。NAの偉大さを改めて思い知りました(笑)」

NAのどこが偉大なのでしょうか?

「運転して楽しい。どこが良いからなのか、どこが優れているのか、それは実はよく分からないんだけど(笑)、乗ってみるとなんか楽しい。NDの方が間違いなく良いクルマに仕上がっている自負はあるんです。でも、どっちが好きか、どっちが楽しいかと問われたら、ひょっとしたらNAって答えちゃうかも知れない(笑)。まあ、思い入れとかもあるんでしょうけどね」

では、その開発で議論され、決めたという「ロードスターらしさ」とは一体なんでしょう?

「いやぁ、それは一言ではいえない、多岐にわたることなんですけども、でも敢えて一言で言うならば、やっぱり"人馬一体"。運転して楽しいクルマを作る、ということです。それだけは決してブレないし、コストを理由に妥協も決してしません。ロードスターというクルマは台数が多く出るわけではないし、会社の商売として見たら風当たりが強いんですが(笑)、でも結局はみんなが後押ししてくれます。コストが厳しかったら、他のところで知恵を絞ってコストを浮かせる。マツダの魂ですから」


聞けば、マツダの社員は入社したらロードスターで「運転を覚える」そうだ。FFのアクセラでも、SUVのCX-5でも、ロードスターで知った"運転の楽しさ"をそのクルマでどうやって表現するか、という姿勢で開発されているそうである。まさに"マツダの魂"だ。



現在ではスポーツカーでも2ペダルが増えていますが、ロードスターはこれからもクラッチ・ペダルがなくなることはありませんよね?

「速さだけをとったら、デュアルクラッチの方が確かに速いんでしょうけど、でも運転の楽しさはやっぱりマニュアルだと思います。ロードスターはレーシングカーではなくて、スポーツカーですから。ミスをすればそれがはっきり返ってくる。上手くやれたら満足が得られる。スポーツってそういうものでしょ? それがクルマの動きで分かる。マニュアルの方がそれはよりはっきり分かりますよね。」

でもAT限定免許の人でも楽しめるように、今回もATモデルは当然用意されていると思います。スカイアクティブATになったことで、先代より良くなったところは何かありますか?

「ATは、スカイアクティブとは言っていないんです。ロードスターはエンジン縦置きのFRですから、当然FF車用のSKYACTIV-DRIVEは使えません。だからアイシンAW製のATを採用しています。機械的にはトヨタ 86と同じものですが、でもソフトウェアの制御はマツダ独自のものになっていますので、フィーリングは(トヨタ 86と)全然違うと思いますよ。他のマツダ車と同じような味付けにしています」

まだ4代目が出来上がったばかりですが、今後のロードスターはどうなっていくのでしょう? 例えば電気自動車版のロードスターなんて、すでに考えたりされているのですか?

「今のところそれは全然考えていません。モーターでアシストするっていうことならアリかも知れないけど。やっぱりスポーツカーは内燃機関でやりたい。電源を入れるんじゃなくて、"火"を入れないと。爆発させないと(笑)。でも...例えば50年先になったら、そうなるのかなぁ。まあ、それは次の世代が考えてくれることでしょう(笑)。でも例えEVになっても、後輪駆動で前後重量配分が50:50、運転して楽しいクルマ、それは変わらないと思います」

もっと近い将来、次のロードスターということでは? NDで出来なかったことって何かありますか?

「個人的にはもっと軽くしたい(笑)」



今回は新型マツダ ロードスターの開発を担当されたエンジニアの方々(複数の方からお聞きした)のお話をご紹介した。いかがだろう、皆さんとても"熱い"人たちだということがお分かりになっただろうか? 次回はデザイナーの方からお聞きした話などをお伝えする予定だ。それまでにまずは新型ロードスターを写真でじっくりとご覧いただきたい。なお、新型ロードスターの実車は、9月6日に茨城県の筑波サーキットで行われる第25回メディア対抗ロードスター4時間耐久レースを皮切りに、今後12月まで全国各地のイベントで公開される予定だ。詳しい情報は以下のリンクから、ロードスター25周年アニバーサリー・サイトをどうぞ。

マツダ公式サイト:ROADSTER 25th ANNIVERSARY
http://www.mazda.com/jp/stories/history/roadster/roadster_25th/


By Hirokazu Kusakabe

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