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国際
【歴史戦 第6部「主戦場」米国(4)下】「20世紀最大の人身売買」と断罪した米下院慰安婦決議、世紀の冤罪に
この説明は平成5年に慰安婦募集の強制性を認めた官房長官、河野洋平の談話の範疇(はんちゅう)だった。だが、米側は河野談話では不十分というのが出発点だった。思えば河野談話とは哀れな言葉の積み木だった。敵の許しを得るために虚偽を描くほどの譲歩をしてみても、敵も味方も許してはくれなかったのだ。
大使館の議会対策も活発ではなく、慰安婦決議案の表決直前に担当責任者が交代するという状態だった。
第2には、安倍の発言がゆがめられて米側に報道されたことだった。安倍は日本の記者団に対し「当初、定義されていた(日本軍の組織的な女性の強制連行という)強制性の証拠はなかった」と述べた。いまみれば、当然の言明だった。
この発言は朝日新聞とニューヨーク・タイムズのタッグマッチふうの報道などで、安倍が日本軍の慰安婦への関わりをすべて否定したかのように伝えられた。その結果、決議案にそれまで反対していた共和党側議員のデーナ・ローラバッカー、スティーブ・チャボットらが賛成へと回ってしまったのだ。
この下院決議が断罪したのは「日本軍の組織的な強制連行」で、「20世紀最大の人身売買の一つ」とまで言い切った。朝日新聞が8月5日、「慰安婦の強制連行」を証言した吉田清治の記事を取り消した事実だけみても、いまやそれが「世紀の冤罪(えんざい)」だったことが浮かびあがったといえよう。(敬称略)
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