【ニューポート=小滝麻理子】北大西洋条約機構(NATO)は4日、ニューポートでの首脳会議で、最大約14万人を投じたアフガニスタンの戦闘任務を年内で終了することを確認する。訓練部隊の駐留や資金面などでアフガン支援を継続するが、足元では反政府武装勢力タリバンが攻勢を強める。NATOの関与低下で、来年以降の同国情勢を不安視する声が高まっている。
NATOを中心とした国際治安支援部隊(ISAF)のアフガン任務はNATO史上最長の10年超続いた。戦闘部隊の撤収で、アフガンでの対テロ戦争が大きな区切りを迎える。さらに2016年には米軍が完全撤収する計画だ。
首脳会議冒頭でNATOのラスムセン事務総長は「国際社会が協力した前例のない任務の達成を誇りに思う」と述べた。そのうえで、現在約35万人規模のアフガンの治安を担当する軍や警察に「年末までに完全に権限を移譲する」と強調。NATOは来年以降、治安部隊の訓練や資金面の協力などの任務に徹するとした。
NATOは、米軍などが撤退した後に情勢が悪化したイラクの反省を踏まえ、治安維持のために約1万2千人規模の部隊の駐留を続ける方針を固めている。
米国やNATOは兵士の扱いなどを規定した地位協定の署名を駐留継続の条件としているが、現時点で署名は実現していない。4月に行われたアフガン大統領選は決選投票の不正調査が続いており、NATOは来年以降の任務を正式に決めることができずにいる。
アフガンでは、米軍が一部撤退した南部ヘルマンド州サンギン地区や周辺で最近、タリバンが大規模な攻撃をしかけ、治安部隊との戦闘が激化している。国際社会ではISAF撤収後にタリバンの脅威が増大すると警戒する向きが強い。
NATO首脳会議の4日のアフガンに関する会合には、アフガン治安部隊の費用を分担する日本も参加した。NATOは分担国に引き続き支援を求める方針で、日本もこれに応じる見通しだ。
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