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きょうの社説 2014年9月4日
◎安倍改造内閣 今後も経済再生を最優先に
第2次安倍改造内閣が発足した。安倍晋三首相は内閣の要となる閣僚の留任で政権の屋
台骨を固めながら、5人の女性を閣僚に登用し、「地方創生」と「安全保障法制」「女性活躍」の担当相を置いて長期政権を目指す意気込みを見せている。新たに担当相が設けられた分野は、いずれも日本の将来を左右する課題であるが、改造 内閣が引き続き手を緩めることができないのは経済の再生である。 政権の看板政策となった地方創生では、地方に雇用の場を増やして若者が東京に向かう 流れを抑えることを目指す。その実現は経済に活力を出すことが前提となる。国の安全を守ることも、女性の活躍の場を広げることも、経済に勢いがなければ実行は難しい。内閣改造に踏み切った安倍首相は今後も経済再生を最優先にして政権運営を進めてもらいたい。 首相は2012年末の第2次政権発足時に、何よりも経済再生に力を入れる姿勢を鮮明 にした。その後、大胆な経済政策「アベノミクス」の効果によってデフレ脱却と景気回復の兆しは見えてきたが、今年4月の消費税増税後は回復基調に陰りが出ている。 ようやく芽生えたデフレ脱却の流れを止めるわけにはいかない。改造内閣の前途には多 くの懸案が待ち構えるが、経済再生の重要性は政権発足時より、むしろ増しているのではないか。 数ある懸案の中でも年内に重い判断を迫られるのは消費税の再増税だろう。来年10月 に税率を8%から10%に上げることは法で定められた既定路線ではあるが、気掛かりなのは景気の先行きに不透明感が出たことである。 増税後の経済指標には、消費が減少する傾向も出ている。企業活動を見ても在庫が増え て生産の勢いが落ちてきた。デフレ脱却と経済再生は正念場に差し掛かっているとみなければならない。 ここでかじ取りを誤れば、日本経済は再び負のスパイラルに陥る恐れがある。消費税の 再増税は経済再生にかなうかどうかを基準にして決める必要があるだろう。安倍首相は全国津々浦々に経済の好循環が生まれているかどうかを慎重に見極めて判断してほしい。
◎独立リーグ合同機構 多彩な選手交流で活性化
プロ野球独立リーグのBCリーグと四国アイランドリーグplusは、合同機構となる
一般社団法人日本独立リーグ野球機構を設立した。独立リーグの正式な窓口として、海外を含めた他団体とのさまざまな交渉に円滑に対応できるようになり、両リーグ間の中身の濃い交流により、ダイヤの原石のような才能豊かな選手の発掘にもつながると期待される。独立リーグの活性化に向けて多彩な事業を展開してほしい。BCリーグでは、いま北陸地区で石川ミリオンスターズと富山サンダーバーズが激しい 首位争いを演じているが、来季からは、さらに埼玉と福島が加わって8チーム制となり、一段と熱の入った地域間対決が繰り広げられる。たとえばこれに四国との交流戦なども組み込めば、これまで以上に一体感をもって、多くのファンに「独立リーグ」の存在価値をアピールすることができるのではないか。 BCリーグは、米独立リーグとの公式戦開催や大リーグのレッドソックスのトライアウ ト(入団テスト)を実施するなど、海外展開にも力を入れており、一本化した日本の独立リーグとして海外団体にアピールすれば、有望選手の入団の可能性も広がる。そうした意味で将来性のある独立リーグには、NPB(日本野球機構)も高い期待をかけていると言われる。 独立リーグ側は、従来からNPBに選手を送り込む条件の緩和などを求めており、合同 機構の設立により、NPBとの連携強化を図る基盤が整うとの期待も大きい。 グラウンド以外でもさまざまな地域貢献活動を行っている独立リーグには、NPBにはない地元密着度がある。地域の野球人口の拡大にも寄与している。NPBをめざす若い選手のやる気を高めることも大事だが、まずは地元ファンの心を沸き立たせるような試合をすることが大切だろう。 チームの勝利による地域貢献を第一に、海外勢も含めた個性豊かな選手たちが、わがま ちのスタジアムで躍動する姿こそ独立リーグのだいご味である。新しい合同機構には、そんな熱い試合を提供する環境づくりを望みたい。
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