小渕優子氏:女性初の経産相就任に「大変な重責」-原発など課題 (1)
9月4日(ブルームバーグ):3日の内閣改造で初の女性経産相に就任した小渕優子氏。就任会見では「大変な重責」と述べるとともに、原子力発電所については安全性が確認されたものから再稼働を進める考えを示した。
小渕経産相は新内閣で最年少の現在40歳。故小渕恵三元首相の娘で、08年の麻生太郎内閣では34歳で初入閣するなど順調なキャリアを積み重ねてきた。今回は史上最多タイの5人の女性閣僚の1人として再入閣となったが、世論の抵抗も根強い原発再稼働などの政策課題に取り組むことになる。
小渕氏は8月29日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで、初の女性経産相の誕生は、女性の活躍を推進するうえで「1つのメッセージになる」と話していた。この時点では入閣の打診は来ていなかったという。
早稲田大学の田中愛治教授は、小渕氏は先輩議員に自民党の若きヒロインとして育てられてきた、と指摘。日本にもし女性の首相が誕生するなら、恐らく小渕氏が最初だろうとの見方を示している。
エネルギー政策経済産業相は原発などのエネルギー政策のほか、産業振興、通商、中小企業など幅広い分野を所管。経済財政諮問会議のメンバーとして政府全体の重要政策作りにも関与するポストだ。歴代大臣には甘利明経済再生相、二階俊博総務会長らが名前を連ねる。
小渕氏は4日、ブルームバーグ・ニュースなどとのインタビューで、経産相として「まずはしっかりと与えられた役割を果たしていくことだ」と語った。
難題となるのが原発の再稼働だ。東京電力福島第一原子力発電所の事故から約3年半となる今も、反対論は根強い。8月24日付の日本経済新聞に掲載された世論調査によると、再稼働を「進めるべき」と答えた人は32%で、「進めるべきではない」は56%。女性に限定すると、「進めるべきではない」が65%で、「進めるべき」の20%を大きく上回った。男性は45%で賛否が拮抗した。
小渕氏は3日の就任会見で、エネルギー問題は「日本経済の基本」と指摘。「原子力規制委員会によって新基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原発の再稼働を進める」と表明した。安倍首相から同様の指示を受けたことも明らかにした。
再稼働への反対意見が出ていることについては、「ご理解をいただけるように説明していかないといけないと思うし、地元の要望や再稼働にあたっては立地など関係者の皆さんの意見を真摯(しんし)に伺っていきたい」と語った。
原発の停止が経済に与えている影響は大きい。4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」によると、内閣府は11年12月に、原発をすべて火力発電に置き換えた場合、発電コストが上昇することから、潜在国内総生産(GDP)は0.39%-0.60%程度減少するとの試算を示した。
同計画は、電気料金の上昇が「電力を大量に消費する産業や中小企業の企業収益を圧迫し、人員削減、国内事業の採算性悪化による海外への生産移転等の悪影響が生じ始めており、海外からの対日投資の拡大を進める上でも、大きな障害となる」と分析している。
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更新日時: 2014/09/04 18:41 JST