Updated: Tokyo  2014/09/04 22:09  |  New York  2014/09/04 09:09  |  London  2014/09/04 14:09
 

錦織の快挙で実った盛田氏の投資-テニス基金で留学支援

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  9月4日(ブルームバーグ):ソニーの元副社長、盛田正明氏が錦織圭選手につぎ込んだ先行投資がかつてないほど大きな実を結びつつある。同選手がテニス4大大会の全米オープンで、日本人選手として96年ぶりに4強に進出したからだ。

錦織(24)は米国でテニス教育を受けたが、これを支えたのが盛田氏が設立し、会長を務める「盛田正明テニス・ファンド」だった。錦織は3日、ニューヨークで行われた準々決勝でスタン・ワウリンカ(スイス)をフルセットの激戦の末に破った。

「朝、早起きして試合を全部見た。勝利の瞬間、錦織選手は非常に平常心だった」と盛田氏(87)は言う。「私もこれで喜んで終わりではないと思う。日本からテニスチャンピオンを出すというのが私の夢だったので、夢にだいぶ近づいたなと思った」と電話取材で述べた。

錦織は試合後の会見で「最終セットまでプレーするのが好きなわけじゃないが、最終セットまでプレーする自信は十分にある。第4、第5セットと進むうちに集中力が増したし、テニスの調子も良くなってきた」と語った。

準決勝に進出したことで錦織は少なくとも73万ドル(約7660万円)の賞金を手にすることになる。今年獲得した賞金は約260万ドル、プロ転向後の通算では約620万ドルになる。

島根県からフロリダへ

錦織は14歳のときに米フロリダ州のニック・ボラテリーテニスアカデミーに留学するため島根県から米国に渡った。それを支援したのが、若い日本人選手の育成を目的とした盛田正明テニス基金だ。盛田正明氏は日本テニス協会の名誉会長で、ソニー創業者の1人、盛田昭夫氏の実弟。

錦織は日本人男子として、1918年の熊谷一弥以来の全米オープンでのベスト4入りを果たした。

東京だけでなく、アジアの市場関係者も試合に見入った。エスピリト・サント・セキュリティーズ(香港)のセールストレーディング責任者、アンドルー・サリバン氏は同僚と共にテレビで試合を観戦した。同氏は「スポンサー企業にすぐに反響があるとは思わないが、錦織が決勝に進めば日本のテニス関連すべてで非常に大きな上向き材料となる公算が大きいため、長期的には極めてプラスだ」と述べた。

原題:Nishikori’s Marathon Wins at U.S. Open Pay Off for Sony’sMorita(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Rob Gloster rgloster@bloomberg.net;東京 Rin Ichino richino@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Michael Sillup msillup@bloomberg.net宮沢祐介, Jay Beberman

更新日時: 2014/09/04 13:48 JST

 
 
 
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