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ソニー、2種のウエアラブル端末を発表―はずみになるか

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月4日(木)10時12分配信

 ソニーは3日、2種のウエアラブル(着用できる)端末を発表した。この市場でのプレゼンスを拡大し、低迷するモバイル事業の販売強化を狙う。

 同社はドイツ・ベルリンで開かれている家電見本市「IFA」で、1.4インチの白黒の曲面ディスプレーを搭載する新型リストバンド「スマートバンド・トーク」を発表した。また、腕時計型の「スマートウオッチ3」も披露した。これは1.6インチの液晶ディスプレーや、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド・ウエア」が搭載されている。どちらの端末も音声コマンドに対応し、防水仕様が施されている。

 ソニーによれば、今回導入したウエアラブル端末は搭載するセンサーの数を増やし、現行機種より正確に何時間寝たかや、どのくらいの距離を歩いたかなどを追跡できるようにした。ブルートゥース(周辺機器をワイヤレスで使える近距離通信規格技術)でスマートフォンと連携させると、リストバンドは受話器として機能し、通話を可能にする。スマートウオッチは単独での電話機能はない。ソニーによれば、リストバンドの電池は充電なしで3日間、スマートウオッチの電池は2日間もつという。

 同社は端末の価格を公表しなかったが、今秋に世界発売の予定だ。

 世界のスマートフォン市場の伸びが鈍化するなか、ウエアラブル端末市場に注目する企業は多い。調査会社のストラテジー・アナリティクスは、世界のウエアラブル市場の売上高が昨年の10億ドルから2020年には370億ドルにまで伸びると予想する。

 この市場に手を広げ、他社と差別化できる製品を売り出すことは、ソニーにとって決定的に重要かもしれない。同社はこの1カ月前に今年のスマホ販売予測を大幅に下方修正したばかりだ。これは、モバイル部門が2014年度第1四半期(4-6月)に営業損失を計上したことを受けた発表だ。ソニー幹部によれば、販売が不振ではあるものの、同社はスマホ市場から撤退しない方針だ。なぜなら、スマホは同社の中核技術―カメラ、音響機器とビデオゲーム―が集められた中核的商品だからだ。ただし、同社幹部は将来的に力を入れる商品ラインを選び、市場も絞る予定だとも述べている。同社のスマホ事業は昨年は同社で最も収益性の高かった事業の1つだったが、現在は中国の格安メーカーとの競争で苦戦している。

 ソニーによれば、スマートバンド・トークとスマートウオッチ3のストラップは交換可能で、複数の色が用意される。また、端末向けにさまざまなタイプのバンドを発売することを目指し、いくつかのファッションブランドと交渉中だという。

 同社はまた、ソフトウエアの開発業者を招いて、リストバンドとスマートウオッチのソフトウエア機能を追加してもらう計画だ。こうすることで、同社製端末を中心としたエコシステムを構築し、同社の他の商品(スマホのエクスペリアなど)に対する顧客の同社への忠誠心が向上することを望んでいる。

 ソニーがウエアラブル端末を発売するのは今回が初めてではないが、前回の試みではそれほど勢いを得られなかった。ストラテジー・アナリティクスによれば、4-6月期のソニーのウエアラブル端末市場のシェアはわずか5%と、フィットビットの37%、サムスン電子の20%、ジョウボーンの19%から大きく後れを取っている。競争は今後激化する公算が大きい。アップルが来週、同社初のウエアラブル端末を発表するとみられているほか、韓国のライバルであるサムスンとLGエレクトロニクスも今週のIFAで新型スマートウオッチを発表する予定だからだ。

 ストラテジー・アナリティクスのエグゼクティブ・ディレクターを務めるニール・モーストン氏は、「ソニーが2020年までに世界のスマートウオッチ市場で10%のシェアを獲得できれば、年間売上高が30億ドル(約3100億円)増えると当社はみている」と述べ、成功のカギは米国と中国での販売増だと指摘した。ソニーは米中両国のウエアラブル端末市場でのプレゼンスをほとんど持たないからだ。ソニーは2013年度(14年3月終了)の連結売上高が7兆7700億円(約739億ドル)だった。

By Takashi Mochizuki

最終更新:9月4日(木)12時12分

ウォール・ストリート・ジャーナル

 

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